羽生結弦 GPファイナルを制した異次元の演技とは!?

   

スペインのバルセロナで行われていたGPファイナル。

 

男子は羽生が12日のフリーで219.48点、合計は330.43点で、ともに自身がNHK杯でマークした世界歴代最高得点(フリー216.07点、合計322.40点)を更新、2位のハビエル・フェルナンデスにファイナル史上最大の37.48点差をつけ、異次元の強さで男子初の3連覇を飾った。

 

NHK杯から2週間しかない中で、さらに自身の持つ最高得点を更新してしまう強さとはどこにあるのだろうか。
この2週間でどんな点の評価が上がったのか、得点の面から、そして羽生自身のコメントからその「強さ」の要因を探ってみたい。

 

●羽生の技術点がすごいことに!

羽生のフリーのプログラム構成と技術点を載せてみた。
※左側がNHK杯の時の得点で右側がグランプリファイナルでの得点。

 

①4回転サルコウ    13.36      13.50
②4回転トーループ   12.87      13.30
③3回転フリップ     6.40       7.20
④足替スピン組合せ    4.43       4.64
⑤ステップシークエンス  5.50       4.66
⑥4回転T-3T     17.77 18.06
⑦3アクセルー2T    13.78      13.78
⑧3A+1ループ+3サル  17.17      17.17
⑨3ループ        6.16       7.11
⑩3ルッツ        8.10       8.40
⑪スピン         4.14       4.21
⑫コレオシークエンス   4.10       4.10
⑬足替えスピン組合せ   4.64       4.79
合計       118.87     120.92

 

この短期間に9つの項目で点数がアップしており、さらに3つの項目でGOEの評価が満点(4サル、4トー、3A+2トー)を得ている。

 

自身も元フィギュアスケーターで解説者でもある佐野稔氏は、この羽生の点数について、「住んでる世界が違う」「異次元」と評し、NHK杯から今回のファイナルまでのわずかな間で、それぞれのジャンプの正確性、質がさらに上がったと話す。

 

ジャンプのは空中姿勢が美しいこと、降りた後の流れ、高さなど総合的な要素をもって評価を受けるというが、それらがほとんどすべてのジャンプで前回以上に良くなっているという。

 

これとは別に演技構成点の面でもNHK杯では各審査員が10点満点をつけた項目が13か所だったのが、ファイナルの演技では24か所に10点満点がついていたというから圧巻だ。

 

●絶対王者になるべく羽生を駆り立てたものとは?

 

羽生がさらなる高みを目指した背景にあったもの、羽生を駆り立てたものについて、佐野氏は今シーズン初戦のカナダ大会で、休養明けのパトリック・チャンに完敗したこと、そして金博洋の存在を挙げた。

 

羽生はカナダ大会の後、勝ちにいくプログラムを目指したのだろうか、ショートプログラムの構成を替え、難度をあげてきた。

 

変更前3A、 4T、 3Lz3T (基礎点:30.94)
変更後:4S、4T3T 3A (基礎点:34.25)

 

羽生の攻めの姿勢がうかがえるが、こうした変更を決意させたものとは何なのか。
羽生はGPシリーズのメインキャスターを務める松岡修造のインタビューの中でこう話している。

 

『表彰式の前にパトリックチャン選手に「おめでとう」と言われたときに僕も「おめでとう」って言って。でも「次 勝つからね」って言ってきたんですよ』と話すと、松岡氏が少し驚きながら「次勝つからね」って(言ったの?)?と返すと、羽生は「次は僕が表彰台の真ん中に立つよ。待ってて」と答えている。

 

松岡氏は「よく言うな・・・」と一言。

 

カナダ大会の翌日のエキシビションの全体練習の合間に1人4回転練習をしていたといい、羽生は『パトリックチャン選手もそばにいるしすごいいいモチベーションになるんですよね。「見てろよ」って』松松岡氏が『パトリックチャン見とけという感じ?」というと、羽生は『ええ、どんなジャンプでも跳んでやるからなって。俺、絶対成長してやるからなって思って。次は絶対勝つぞという一心で練習してきました』と話している。

 

このやりとりからも絶対に勝てるプログラムを用意したかった羽生の負けず嫌いな一面が伺える。

 

しかし次の中国大会では若手の金博洋選手に刺激を受ける。
まだ誰も公式戦で跳んだことのない4回転ルッツに3トーループを付けたコンビネーションをショートプログラムで成功させたのだ。

 

ショートというのは、ジャンプの本数も少なく、とにかくミスをせずに演じることが大切だと語る佐野氏だが、金選手はそのショートでこの高難度のコンビネーションを成功させた。

 

そしてこのジャンプは20点に迫る高得点となり、羽生の前に演技をした金選手の得点を目の当たりにした羽生の闘志に再び火が付いたのではないかと分析する。

 

羽生自身は金選手についてこのようにコメントしている。
※松岡氏のインタビューより

 

『(今回のNHK杯で)ボーヤンジン選手がショートで95点とったじゃないですか。95点という点数を見た瞬間に 「ノーミスだったんだ彼の完全なる実力がここで出たんだ」と思って。「オッシャー!」って思って・・・』と羽生が言うと、松岡氏は「オッシャー!」って?「やばい!」じゃなくて「オッシャー??」』

 

羽生は『キター!って思って僕 昔からそうなんですけど 誰かが悪い演技をしたときに勝つのはすごい嫌なんですよ。全部出した上でそれでも僕が1位なんだよっていう、たぶんそこまで追い詰めたいんです』と話した。

 

羽生は乗り越える壁を自分自身に課し、新たな課題を設定すると、そしてそれに全力で取り組む。そして確実に乗り越えていく強さと、常に高みを目指す向上心が尋常ではない。
血のにじむような努力をしているに違いないはずなのだが、なぜかそれを楽しんでいる風にさえも感じさせる。

 

こうした姿勢を持ち続けている限り、今後も羽生は進化し続けるのではないかと見ている側に期待させてくれる。

 

●宇野昌磨も銅メダル獲得!

 

羽生に注目が集まるシングルフィギュアだが、今季からシニア本格参戦した宇野昌磨も4位だったSPから順位を1つ上げ、フリーで190.32点を獲得し、合計276.79点で3位と健闘した。

 

前年のジュニアGPファイナル優勝者がシニアのファイナルで表彰台に立ったのは男子史上初の快挙だ。

 

演技を終えてのインタビューで宇野は「とても満足いく演技できたけどSPの演技が心残り。次の試合に向けて課題が見つかった。表彰台に上れるとは思っていなかった」と語った。

又、羽生の存在についても「しばらく追いかけるだけ。目標で見て勉強している。いつか同じ立場で戦えるようにしたい。とてもいい存在でお手本になる」と話している。

又、25日に迫った全日本選手権へ向けては「あまり日にちはないけど、短い期間でやれることはたくさんある。今回のような演技ができたらいい。これがマックスの演技じゃない。上があると証明できるように練習したい」(サンケイスポーツよりコメント部分引用)

 

進化し続ける羽生と、その背中を追いながら成長を続ける宇野や、若手選手の全日本での演技にも是非注目したい。

 

Credit : figure skating 2014

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