2015世界体操 日本 内村航平 団体 個人総合 種目別でも金!

   

30日、英国のグラスゴーで行われた第46回世界選手権の男子個人総合で、自身の史上最多記録を塗り替える6連覇を成し遂げた。
2012年ロンドン五輪を含めて7年連続で世界一に輝き、日本体操協会の内規により2連覇を目指す来夏のリオデジャネイロ五輪代表にも決まった。

 

内村は4月の全日本選手権で8連覇、5月のNHK杯で7連覇を達成するなど順調にシーズンをスタートさせたが、その後の練習で鉄棒から落下し左肩を負傷。
7月のアジア選手権を欠場してコンディション調整に務め、世界選手権に臨んだ。

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優勝候補の大本命と見られる中、25日の予選の床運動では首を痛めて心配されたが、それでもトップで勝ち上がった。

 

個人総合は全6種目の合計得点で争い、予選をトップ通過した内村はこの日の決勝で合計92.332点をマーク、2位のマンリケ・ラルドゥエト(キューバ)に1.634点の差をつけた。初代表の18歳、萱和磨(順大)は10位に入った。

 

●個人総合で6連覇

 

団体後の個人総合、悲願の金メダル獲得と連日の演技の疲れもあるのだろう、「気持ちを強く持っていないとすぐ集中力が切れそうだと思い、最初から最後まで集中していた」という内村。

 

内村の演技は得意の「床」からスタート。
ここでミスのない演技を見せると、集中力を保ったまま、2種目目のあん馬でトップに。
跳馬では高難度の「リ・シャオペン」を見事に決め、全体トップの15.633点を出した。

 

平行棒でさらに高得点を出すと、海外のライバルたちがミスで自滅していく中、後続との差を少しずつ広げていく。
最終種目の鉄棒では団体の時の落下の印象が消え去らない中、今回は勝ちに行ってもいいんじゃないかとコーチと話し合ったという通り、高難度の離れ業、カッシーナを回避、それでも15点台に演技をまとめ、見事に6連覇を達成した。

 

逆にいえば、5種目を終えて2位と1.200点差を持てた余裕があったからこそ、鉄棒で「カッシーナ」を回避する安全策を選択できたともいえるのかもしれない。

 

●種目別決勝の鉄棒でも金

 

種目別決勝での「鉄棒」では、個人総合で回避したG難度のカッシーナを入れた構成で挑み、15.833点をマークするクリーンな演技を見せ、見事に金メダルを獲得した。

 

内村は試合後のインタビューで「細かいミスを犯したので金メダルに手が届く演技とは思わなかった」と振り返るも、「予選から鉄棒が演技できていなかった。最後の最後にいつも通りの自分の演技が出来たと思う。出た種目ですべて金メダルは初めてなので運が良かったと思います。」と話した。

 

2位には、15.700点を獲得した米国のダネル・レイバ、3位には、15.600点でキューバのマンリケ・ラルドゥエトが入った。

 

ちなみに種目別決勝では日本の白井健三選手が床の演技で金メダルに、初出場の18歳萱和麿選手があん馬で銅メダルに輝いている。

 

尚、内村はこの世界大会のメダル獲得により、通算24個(金11、銀9、銅4)となり、監物 永三(けんもつ えいぞう)と並び、日本選手最多となった。

 

●内村の身体能力とリオ五輪に向けて

 

体操選手にとって26歳という年齢は力の衰えを感じはじめるのではないだろうか。

 

今大会では日本の白井や萱など国内の若手の成長も大きかったが、海外からもキューバのマンリケ・ラルドゥエト選手や、ウクライナのオレグ・ベルニアイエフ選手など内村に迫ってくる存在になりそうな若手の台頭も見られた。

 

その一方で、団体戦では常に日本と金メダル争いを繰り広げてきた中国の強さが影を潜めた。
弱点種目の床運動とあん馬でつまずくと、得点源のつり輪でもミスが出た。高難度の構成を武器に終盤の平行棒では15点台後半から16点台を並べたが、猛追も及ばず3位に終わっている。

 

特に連覇を支えてきた26歳の張成龍に力の衰えが見え、若手も経験不足を露呈した。
打倒中国を掲げてきた内村も「ことしは『俺ら、やりますよ』というオーラがなかった。ちょっと元気がない感じだった」と印象を語っていたように、どんなに強い体操選手もある程度の年齢になると力の衰えは否めないのだろう。

 

誰よりも数多く種目に出場した内村も現在26歳、体力的には厳しい部分もあるのかもしれない。

 

しかし、内村の胸には今、「8割の美学」があるという。
森泉コーチは今大会前、内村のコンディションは急上昇したといい「調子がいいからこそ今年、来年は8割の力でいこうという話をした」と明かした。
そして「力を常に使い切るのではなく、残り2割は何かがあった時のために取っておくということ。(08年の)北京五輪の時も同じだった」と続ける。
団体予選で頭を強打するアクシデントはあったが、2割の余裕を保つことで、ここまでの18種目を乗り切ったという。

 

確かに25日の予選の床運動で頭部をフロアに強打し、首を痛め、心配されていたが、その後の出場種目ではそんな様子を微塵も見せずに演技をしていた。

 

そこからの回復についても、今井聖晃トレーナー(47)は驚くほどだったと振り返っている。

 

施術で頸椎(けいつい)に触れるたびに可動域が広がったといい、「筋肉の質は普通で特に柔らかさがあるわけではない。ただ、なぜだか分からないけど、大会が進むに連れて動きやバランスが良くなる能力を持っている」と言う。

 

ベテランの域に入っても、疲労がたまる中で、技の精度を保つことができるのは、大会で日を追うごとに反応スピードが上がる肉体があるから。中でも後頭部から鎖骨、肩甲骨にかけての僧帽筋の収縮スピードは驚異的で、全身が素早く締まることで、ひねりや回転の正確性につながるのだという。
(日刊スポーツより)

 

このような話を聞くと、内村を一般的な常識に当てはめて考えるのは違うのかもしれないと感じる。

 

前人未到の6連覇で16年リオデジャネイロ五輪の代表にも決定。04年アテネ五輪以来の団体V、12年ロンドン五輪に続く個人総合連覇を狙う。

 

内村は「五輪はまた別次元。ここから考えてやってかないと、足をすくわれる。団体も個人総合も課題が見つかったし、世界選手権と同じようにはいかない。しっかり五輪仕様にしていく」と話す。

 

入れ替わりの激しい体操界においてこの数年間、常に頂点に君臨する内村は、それだけですでに常識を超えている。
内村なら年齢の壁を、今までの常識を越えていくのではないか、そんな気がする。

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