全日本フィギュア女子シングル ソチ五輪の切符を手にするのは?安藤・村上の思いは?

フィギュアスケートのソチ五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権が21日から3日間、さいたまスーパーアリーナで開かれます。
ソチ五輪の代表枠は男女各3ずつ。

 
 この内容は男子を含むダイジェスト版
 

あさってから始まる全日本選手権に向けて、女子のシングルのソチ五輪代表に誰が選ばれるのか、予想も含めて各選手の状況をチェックしてみたいとおもいます。

 

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女子の代表枠は「3」ですが、今シーズンの国際大会などで活躍した選手を中心に、浅田真央、鈴木明子、村上佳菜子、宮原知子、今井遥の5選手、ここに出産後、徐々に調子を上げている安藤美姫を加えた6選手に注目が集まります。

 

この女子シングル代表は、全日本選手権終了時に、オリンピック参加有資格者の中から、以下の選考方法で決定することになります。

 

(1) 1 人目は全日本選手権優勝者を選考する。
(2) 2 人目は、全日本 2 位、3 位の選手とグランプリ・ファイナルの日本人表彰台最上位者の中から選考を行う。
(3) 3 人目は、(2) の選考から漏れた選手と、全日本選手権終了時点でのワールド・ランキング日本人上位 3 名、ISU シーズンベストスコアの日本人上位 3 名選手の中から選考を行う。

 

(1)の条件である全日本選手権での優勝は21日から行われるこの大会での結果次第ということになりますね。
全日本での優勝者は今シーズンの成績などにも関係なく確実に「代表」を手にすることが出来ます。

 

(2)の条件である全日本2,3位の選手と、GPファイナルの表彰台最上位者については、GPファイナルで優勝した浅田真央選手が「GPファイナル最上位メダリスト」に該当しており、他の選手より頭一つ抜け出ている状況かと思われます。これは、男子の羽生選手も同様ですね。

 

しかし、日本では全日本選手権で優勝することが「確実」に代表を勝ち取るための重要な大会と位置づけされているため、全日本の結果が上位であり、尚且つGPファイナルでの結果を加味してと言う感じになるのかもしれませんね。

 

(3)については、上記の選考からもれた選手と全日本選手権終了時点でのワールドランキング日本上位3名、ISUシーズンベストスコアの日本人上位3名となっています。
実際にはこの3枠目の基準が、全日本の結果によっては難航し、選考にかなり影響してくると思われます。
全日本選手権の2,3位ですんなり決まるのか、ワールドランキングやベストスコアも選考の対象になってくるのか、はっきりしない部分もありますね。

 

因みに、(3)の選考基準になっているのは「全日本選手権終了時点各選手のワールドランキング」ですので、現在とは変わってくるかもしれませんが、現時点でのワールドランキングとシーズンベストスコアを下記に載せてみました。

 

●女子シングル(ワールドランキング 12/9時点)
2位 浅田真央 アメリカ杯優勝、NHK杯優勝、GPF優勝
4位 鈴木明子 フィンランディア杯2位、カナダ杯2位、NHK杯3位
11位 村上佳菜子
20位 今井遥
22位 宮原知子
94位 安藤美姫

 

●ISUシーズンベストスコア(上位から順に)
浅田 207.59
鈴木 193.75
宮原 170.21
村上 165.95
加藤 165.21
安藤 162.86(格下の大会ではあるがクロアチアで176.82)

 

●ソチ五輪代表ほぼ確実な浅田、続くのは鈴木

 

総合的にみると、浅田選手はGPファイナルで優勝、ワールドランキング、シーズンベストスコアでも日本選手の最上位にいますので、全日本ではよほどのことがない限り、代表はほぼ確実のように思います。

 

バンクーバで涙の銀メダルに終わってから、佐藤コーチの下で1からスケーティングを見直してきた浅田。
スランプに陥りながらもここまで戻し、後はトリプルアクセルが成功すればと言うところまできていますね。

 

しかしこの間の収穫は大きく、浅田は「スケーティングスキルも上がったと思う。ジャンプだけでなく、ステップも最高レベルの物が入っています」と自信を見せるだけに、今季は代名詞のトリプルアクセルの成功がなくても、200点を超える高得点で優勝するなど、その他の要素で高い得点を出せるようになっています。

 

浅田の最大のライバルと言われているキム・ヨナも、怪我の為、今シーズンは主要な国際試合に出場しておらず、僅差で競り合う選手もいないことから、浅田にとっては調整中の3アクセルを各大会で果敢に挑めるだけのゆとりもある今季。
全日本では、自分の最高を目指してすべることが出来ればソチへの自信が又一つ積み重なる大会になりそうです。

 

その浅田選手に続いているのが鈴木選手。
鈴木選手はポイントの差でGPファイナルこそ進出できませんでしたが、得点では全体の5番目で終えており、安定した力を発揮できる選手ですね。
Wランキングでもシーズンベストも浅田に次ぐ順位できており、全日本で良い演技が出来ればこちらも代表に近いところにいる選手ではないかと思います。
鈴木選手は今回、最後の全日本選手権を迎えるにあたって「ソチにいくために、何かを得た試合にするかどうかは自分次第。これで終わりじゃ無い。ここから上がるステップにしたい」と宣言しています。

 

今季で引退を表明している鈴木選手、有終の美を飾るべく、頑張ってもらいたいですね。

 

そして、現段階では誰になるのか予想がつきにくいのが3人目の代表者です。シーズン前は、男子に比べて女子の3枠は、浅田、鈴木、村上選手で比較的無難に決まりそうな雰囲気がありましたが、今シーズン村上選手の不調や、安藤選手の復帰などで代表の3人目が混戦模様となりそうな感じです。

 

●村上選手の状況は?SPの変更も!

 

村上選手は、今季初戦の10月のジャパンオープン直前にスケート靴のかかとの部分が壊れ、代替品での調整は間に合わずに102.15点と低迷、その後のGPシリーズでも中国杯は4位。
さらにロシア杯ではSPで運営側が使用曲を間違うミスに見舞われるなど、順位は7位と低迷。

 

この状況を重く見た陣営は、改善のため今月1日の愛知県競技会に出場させましたが、構成を変えたSPのみの大会でも、53.53点と得点は伸びず、本人は「SPで悪いイメージがついている。どうしていけばいいか分からない」と表情を曇らせ、指導する山田コーチは「何かが合っていない。この曲で滑るのかどうするのか考えないといけない」と話していました。

 

結局、村上選手はオリンピックシーズンの為に作り上げたプログラムのショートを2011年にSPで1位になった時の「バイオリン・ミューズ」に変更して、全日本選手権に挑むと言うことです。この時期の変更は異例とのことですが、これが村上選手にとって心気一転となり、好結果をもたらすと良いですね。

 

今季の不調に村上は「周りの人たちが背中を押してくれるので、めげそうになっても又立ち上がって歩き出すというか・・・逃げずに済んでいます」とコメント。
ショートの変更についても、「感情がこめやすい、自分のタイミングにすごくマッチする曲」と話し、不安よりも、自信満々に滑りたいと話していました。

 

悪いイメージを払拭し、以前のような演技を取り戻すことが出来れば、代表に入る力のある選手だと思いますので、全日本までに精神的にもどれぐらい戻せているか、当日の演技にかかってくると思います。

 

●安藤選手の状況は?ラストチャレンジは「火の鳥」

 

逆に少しずつ調子を上げてきているのが、安藤選手。
安藤選手は出産明けで世界ランキングも低迷、強化選手にもなっていない為、主要な国際大会にもほとんど出場しないまま、五輪選考基準である全日本選手権出場権を得る為に、国内を中心に戦い続けた今季ですが、その基準を満たし、全日本に挑む権利をえています。

 

安藤選手は、10月の関東選手権で147.30点、11月の東日本選手権で147.21点、、全体の2位で全日本選手権への出場権こそ獲得しましたが、この頃はフリーを滑りきる体力が戻っておらず、又、技術の面でもまだ以前のようなジャンプが飛べない状況でした。

 

この頃の事を振り返り、安藤は「体力や筋力を戻すのは大変だった。関東選手権後は、1週間くらい動けなくなった。東日本の時点では3―3は取り戻せないかなと思った」と話しています。

 

しかし、その後徐々に体力や技術を取り戻し、格下の大会ではありますが、直近のクロアチアの大会で今季自己ベストの合計176.82点で2位という好結果を出して、調子は上向きの様子。

 

SPですべる「火の鳥」は安藤が2003ー2004年のシーズンに全日本フィギュアで初優勝した時の曲、最後のシーズンは思い入れのあるこの曲と決めていたそうです。

 

安藤選手は17日、横浜市内で練習を公開し、26歳の誕生日の18日、取材に応じ、最近の練習では3回転―3回転の連続ジャンプもこなし、「3―3もすごくいい。胸を張れる」と笑顔を浮かべて好調ぶりを伺わせています。

 

今日のTVで安藤は「全日本で勝ち抜かないと、というか表彰台にのらないとオリンピックは見えてこないので難しいですけど。でもせっかくの火の鳥でね・・・なので何かこう頑張りたいというか」とコメント。
愛娘に対しても、「娘にも頑張ってたんだよというのを見せられればいいと思う」と話していました。

 

全日本までにどこまで戻してくるか、出産前に近い演技が出来れば、3枠目に入る可能性はあるかもしれません。

 

●安定している宮原選手、体調をもどし練習にはげむ今井選手

 

宮原選手は昨年の全日本選手権で3位に入り、今シーズンの国際大会では難度の高い3回転の連続ジャンプを決めるなど安定した演技で、グランプリ(GP)シリーズのNHK杯とロシア杯でともに5位、NHK杯では自己最高得点の170.21をマークしています。
この点数は、日本人選手のシーズンスコアのなかで3番目の順位にあたります。

 

宮原選手を7歳から指導する浜田コーチは「決して器用ではないが、人一倍の努力家。教えたことをしっかりと自分のものにできる」。ジャンプの回転方向が逆回転(時計回り)だったのを、練習して正回転に矯正。11歳で3回転ジャンプ全5種類をマスターしたといいます。
全日本で自分の演技をしっかりとミスなく行えば、表彰台にのる可能性は充分にありそうです。

 

そして、今井選手ですが、今季足慣らしで出場したスロバキアでの国際大会で連続ジャンプを成功させ163.64点で優勝を決めたあと、盲腸で緊急入院と言う事態になってしまいました。
その後は筋肉が衰え、前に滑るのさえキツイ自分に愕然としたというように、その後のGPシリーズ中国大会では150.30点で6位、今季はあまり良い成績を残せていない状況です。
しかし、徐々に体力も戻し、現在は全日本でパーフェクトな演技を目指して練習にはげんでいるようです。

 

宮原、今井、村上、安藤選手は点数的にも拮抗しており、全日本でどれだけ自分の力を発揮できるかによっては、順位の入れ替わりはいくらでもありそうなだけに、誰が選ばれてもおかしくない状況です。

 

しかし、ソチへ行く為にはなんとしても全日本の表彰台にのることが必須の条件となるこの大会。

 

注目の全日本選手権は21日から行われます。

 

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