スキージャンプ 葛西選手の強さの秘密は?

      2017/10/19

先日、ノルディックスキーのワールドカップ・ジャンプ男子で、葛西紀明選手(41)が、史上最年長で優勝を果たしました。

 

 

来月7日に開幕するソチ冬季五輪の日本選手団主将にも選ばれ、7度目のオリンピック出場を果たす葛西選手。

 

葛西選手は1989年、16歳の時に、当時史上最年少で国際大会初優勝、1992年には、オリンピック初出場を果たし、2年後のリレハンメルオリンピックでは、団体で銀メダルを獲得しました。

 

しかし、日本中が金メダルに歓喜した長野オリンピックでは、団体のメンバーから外れてしまい、その影で涙したといいます。

 

昨年、葛西選手は「オリンピックで金メダルをとってこそ、世界一だと思うので」と話していましたが、41歳になって出場する今回のソチ五輪は、年齢こそ史上最年長ですが、調子は絶好調だといいます。

 

スキージャンプの世界は30歳ぐらいで引退する選手が多く、葛西選手のように40歳を超えて選手を続けているだけでもすごい事だといいますが、さらに成績も残しているわけで、元ノルディックスキーの選手だった荻原さんは「以前は葛西がまだやってるぜ」といって他の選手たちが笑っていたが、今では「葛西が笑っている」というようになったと話します。

 

ドイツの公共放送ARD(電子版)では「脅威ということばはこれから葛西にすべきだ」と伝えており、その他、W杯が行われたオーストリアの地元紙でも一面で「年老いたスズメに毛が生えた」「ジャンプのおじいちゃんがスター選手にショックを与えた」などと報じているようです。

 

では、葛西選手が41歳になって選手を続け、尚且つ結果を残すその強さとはなんなのでしょうか。

 

今日、昼の情報番組「ひるおび」でその強さについて解説していました。

 

一つは葛西選手の身体能力について、スキージャンパーは持久力も瞬発力も大事だといいますが、葛西選手はもともと持久力がある選手なのだとか、しかし、通常それを鍛えると、逆に瞬発力が落ちてしまうといいますが、葛西選手はそんなことはないのだといいます。

 

オリンピックに勝つ物理学 (ブルーバックス)

又、最大の強みは葛西選手の飛び方にあるといいます。
元ノルディックスキー選手だった荻原次晴さんは、スキージャンプは「テイクオフの時に空気抵抗を受けずに、落下していく時に、より揚力を高められるかが重要」だといいますが、葛西選手の飛び方は、「テイクオフの瞬間は両手が動くと空気抵抗になってしまう為、おしりの辺りに(手を)収めて極力おいて、落下していく時に開いて飛んでいる」といい、「その開き方は計算しつくされた角度」なのだといいます。

 

飛び出した瞬間は開かずに、落下が始まる頃に開くが、開きすぎても、開かなすぎてもいけないそうで、そこに葛西選手ならではの技があるようです。

 

実際にジャンプの動作と空気力学が専門の国立スポーツ科学センターの山辺芳研究員によれば、葛西選手のジャンプはすごく合理的だといいます。
「風洞実験をしても、ずっと手の位置を動かしながら試している」といい、葛西選手のヘッドコーチも「一番効率の良い飛び方を探している」と話すように、強さの秘密がこの辺りにもありそうです。

 

又、スキージャンプといえば、ルール変更の多い競技で、記憶にあるところでは、板の長さが変わったなどということもあったように、多いときには年に2~3回ルールが変わるといいます。

 

実際にその歴史を振り返ってみると、1991年ごろは、クラシカルといって板を平行にしたジャンプが主流だったそうです。
現在、選手たちが行っているV字ジャンプですが、その時代には、飛躍的に飛距離が延びる代わりに、選手にとって危険度が高いとされ、当時はV字ジャンプをすると、減点の対象になったといいます。

 

しかし、皆がV字で飛ぶようになった現在は、逆にクラシカルの飛び方をすると減点になるという、これだけでも大きな変更ですが、他にも、1994年~95年にかけて、「スキー板の長さは身長+80㎝に」というルールになっていたものが、98年には「スキー板の長さを身長の146%に」といったルールに変わります。

 

そして、近年は「身長と体重に応じてスキー板の長さを設定する」というルールになっているなど、実際に滑る選手からみれば、自身のジャンプに大きな影響を与えるような変更を何度も余儀なくされているというわけですね。

 

他にもジャンプスーツの大きさを体のサイズ+10㎝以内にといったような、ウエアの問題も変更があり、選手はそのルールに応じて、調整する能力のようなものも必要になるのだと改めて感じました。

 

考えてみれば、1989年から国際大会で活躍している葛西選手、そんな変更が幾度もあった間も通して選手であり続けていること自体もすごいことですが、その時代、時代のルールにも対応してきたということは、葛西選手の糧になっているようにも思います。

 

番組ではそんな、ルール変更に対して、葛西選手が努力していることも取り上げていました。

 

現在のルールでは「身長と体重に応じてスキー板の長さを設定する」となっている為、体重管理というのは以前に比べて重要になっているといいます。
一キロの差は飛距離で2メートルにもなると以前話しており、昨シーズンの葛西選手の体重は61.6kgでしたが、今シーズンは59.6kgとコンマ単位の自己管理を行っているのだとか。

 

葛西選手にとってベストの体重は60kg、朝、昼の食事はきちんと取り、夕食はコーヒー一杯、年に2回の断食、試合前に水を飲み、59.6㎏の体重をベスト60㎏になるようにしているといいます。
ただし、体重を落としたということは、スキーの長さも短くしなくてはいけないわけで、4㎝短くしたといいますが、それでも体重と板の長さのバランスが良いと話しているそうです。

 

過去のルールでは、ジャンプの飛距離を伸ばすには滞空時間を長くすることが重要で、そのためには揚力の稼げる長い板が有利であるとされていたため、日本人には不利だといわれていた時代なども経て、葛西選手や、身長の低い女子の高梨選手など成績を残している選手たちが「身体にあった板なら短い板でも浮く」ことを自ら証明したことになりますね。
自分のフィジカルやパワー、技術にあっている板であることは重要だと荻原さんも話していました。

 

これらの葛西選手の努力や技術、経験といったものは大きな力となって今シーズンうまくかみ合っているのでしょうね。

 

41歳の葛西選手がソチ五輪で持っている力を最大限発揮して、是非表彰台にのっている姿を見てみたいです。

 

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