スキージャンプ・ラージヒル葛西 腰痛治って銀メダル獲得!

ノルディックスキージャンプ男子個人ラージヒル(HS140メートル、K点125メートル)で、銀メダルに輝いた葛西紀明選手。

不屈の翼

葛西は、史上最多の冬季五輪7度目の出場、五輪出場は1992年のアルベールビルから始まり、1994年リレハンメルのラージヒル団体で銀メダルを獲得して以降、自身、20年ぶり2個目のメダルとなりました。
日本ジャンプ陣では、98年長野大会以来16年ぶりとなり、今大会の日本のメダルは金1、銀3、銅1となっています。

 

日本選手団の主将も務める41歳の葛西は、前回のバンクーバー五輪スピードスケート女子団体追い抜きで、銀メダルを手にした田畑真紀(ダイチ)の35歳を抜いて、冬季五輪の日本人最年長記録も更新しました。

 

順位は以下の通りです。

 1位 カミル ストッホ(ポーランド) 278.7pt.
2位 葛西 紀明(日本) 277.4pt.
3位 ペテル プレブツ(スロベニア) 274.8pt.
9位 伊東 大貴(日本) 252.5pt.
10位 清水 礼留飛(日本) 252.2pt.
13位 竹内 択(日本) 249.3pt

 

試合後の表彰式で表彰台に飛び上がって喜びを爆発させた葛西は銀メダルを獲得したことに「自分で自分を褒めたい。リレハンメルの団体の銀メダルとは比べものにならないうれしさです」と話しました。

 

葛西選手の試合後の1問1答のコメントは以下の通りです。

(TheHuffington Post日本版より引用)

――おめでとうございます

ありがとうございます。ノーマルヒルではメダル取れなかったんですけど、本当にメダルを取るという難しさをすごく感じていて、今日も本当にレベルが高い試合だったんで、メダルを狙ってましたけど簡単に取れると思ってなくて、すごいいろんなことが頭でぐるぐる回っていて、もう、失敗したらどうしようとか、メダル取れたらどうしようとか、たくさん頭をよぎっていて、でも、2本ともいいジャンプができたと思います。

――2本目、得点がでるまで時間がありましたね。

そうですね。でも仲間たち。ダイキ、タク、レルヒがすぐ駆け寄ってきてくれたんで、絶対にトップに立ったのがわかったので、その時点でメダルが確定ということで、非常に嬉しく思いました。

――表彰台、一人でたった気分は?

初めてですね。個人戦でメダル取ったことなかったので。まあ明日、メダルセレモニーでどんな状況になるかわからないですけど、本当に楽しみにしています。

――92年のアルベールビルの初出場以来、いろいろとルールが変わったがなんでこんなに強いんだろうと不思議でした。

僕も不思議に思っています。負けたくないという気持ちが一番、強かったですし、そして、たくさんの方に支えてもらって、お父さんお母さん、姉、妹、そして会社の方たち、ファンの方たち、ずっといままでたくさん応援してくれてるんで、その応援に応えたいな、という気持ちでした。

――本当にレジェンドに。

金メダルを取って、本当にレジェンドと呼ばれたいなと思ってたんですけど、まだまだ、目標ができたので。その金メダルという目標に向かってまた頑張りたいと思います。

――まだ続きがあるということですね。

まだ諦めずに金メダルを目指して頑張りたいと思います。

 

葛西の勝利はソチ共同では以下のように伝えられています。

史上最多の7度目の冬季五輪に挑んでいるノルディックスキー・ジャンプ男子で41歳の葛西紀明は、ジャンプの人気が高い欧州で「レジェンド(伝説)」と称賛される。今大会では世界のメディアがその一挙手一投足に注目している。
8位だった9日のノーマルヒルの試合後、葛西の周りには人だかりができた。20代の選手が上位を占めることが多い競技で息の長い活躍が驚きを持って受け止められているからだ。
1990年代にV字ジャンプが主流になる前からW杯を転戦し、出場試合は通算443を数える。1月11日には10季ぶりに勝ち、史上最年長優勝記録を塗り替えた。

 

葛西選手の強さの秘密は別の記事にものせましたが、なんといってもジャンプの技術レベルが高いということがあります。

 

葛西のジャンプ技術の高さと共に、ベテランならではの今まで培ってきた経験も生かされ、今回のメダル獲得へとつながったのでしょう。

 

ジャンプチームの横川朝治コーチは「葛西は(踏み切りで)踏み外しても、他の選手と同じくらい飛べる自信がある。もちろん、踏み切りのタイミングが合えばダントツでいける。そして、空中の進みも世界で一番速いジャンプ」と解説しています。

 

又、ジャンプ競技で特に影響するのは「風」ですが、直前で行われるはずだった試技が不安定な風のため中止となり、競技開始も15分遅れました。

 

特にこの日の風はジャンプ台の右半分と左半分で違う風が吹いており、難しいコンディションだったといいますが、ぶっつけ本番で臨んだ1回目のジャンプで、最長不倒となる139メートルの大ジャンプで140.6点を獲得し1回目で2位につけました。
条件が悪い中でも安定したジャンプが出来るというのも技術力の高い葛西選手だからこそなのでしょう。

 

横川コーチは「2本ともパーフェクト。ノーミスだった。決勝は、これで良いのかというくらい難しい風だったが、葛西は、条件としては130メートルに届かなくてもおかしくないような状況であれだけ飛んでいった。もう、最高のジャンプだと思う」と話しています。

 

又、影から葛西選手を支えるのは、マルチサポートハウスや用具を提供するミズノなど周辺の支援体勢。

 

葛西は9日に行われたソチ五輪のノルディックスキー男子ジャンプ個人ノーマルヒル決勝で8位入賞を果たした際に腰を痛めていたことをブログ内で明かしていました。

 

腰を痛めてからの数日、多くの人が治療に携わってきたそうで、「毎日、奥脇ドクターに診察と薬を頂き、吉泉トレーナーに腰周りをほぐしてもらい、吉田トレーナーに超音波等の電機をかけてもらい、寒川トレーナーにもマルチサポートハウスで高周波等の電機をかけてもらいました!」と周囲があの手この手で葛西の回復に努めてくれたことに感謝しています。

 

その結果、葛西が13日に更新した公式ブログでほぼ完治したことを以下のように報告しています。
葛西はこの朝起きたとき「腰が…なんと!良くなりましたーーーー!!」とほとんど痛みが引いていることに気づいて喜んだといいます。

 

実はその腰ですが「くしゃみをしただけでも腰が痛かった」そうなのです。

 

又TVでもやっていましたが、ジャンプスーツを提供しているミズノは「クラフトマン」と呼ばれるジャンプ用具専門の担当者が、ジャンプ台近くの山小屋にミシンを持ち込んで住み込み、アクシデントやスーツの手直しや選手からの要望に応えられるシステムがあるといいます。

 

こういった選手に対するサポート体制も、葛西選手にとっての追い風となりましたね。

 

そして、今回結果を見てもわかるように、葛西を含めて10位以内に3名が入っていますが、10位以内に3人が入ったのは日本だけだといいます。
今回、葛西がジャンプを終えて、メダル獲得が決まった際にも日本人選手が葛西の周りに集まって声をかけている様子が見られました。

 

他の3選手から葛西に対してのコメントは以下の通りです。

(The Huffington Post日本版より引用)

伊東のコメント
本当によかったです。自分もメダル取りたい気持ちあったんですけど、2本目飛んでダメだったんでノリさんがとれて本当に良かったです。
いい先輩を持ったなとつくづく思います。竹内のコメント
いやあ本当にすごいですね。かっこいいとしか言い様がないです。

清水のコメント
同じ日本人の先輩が銀メダル取る瞬間に立ち会えて嬉しいです。非常に充実したいいオリンピックになっていると思いますし、チーム(団体)も残っているんで頑張りたいと思います。

 

葛西選手を中心とした団結力のある日本選手、17日には団体戦がありますので、そちらにも期待が集まりますね。

 

 

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