町田樹 考え方、生き方を読書から学ぶ 一流を目指す町田の愛読書 は?

昨年の活躍で一気に知名度も上昇、『氷上の哲学者』ともいわれているフィギュアスケーターの町田樹選手。

 

 

町田が本をよく読むこと、特に哲学書が愛読書であることは今では知られるところとなったが、実は小さいころは本ではなく、ゲームに夢中で、スケートの練習に行くときにも、スケート靴は忘れてもゲームは忘れないほどだったという。

 

氷上の奇跡2013-2014 (別冊家庭画報)

そんな町田が読書するようになったきっかけは新幹線通学。

広島には通年リンクがなかったため、高校時代は岡山県の高等学校に毎日新幹線で通学しており、新幹線通学をしているときに本を読み始めるようになったという。

 

昨シーズンの開幕前、ショートプログラムのエデンの東について、町田は以下の様に話してた。

 

「ジョン・スタインベックの小説『エデンの東』がプロットで、1年間かけてコンセプトを解釈し、構想を温めてきた。小説の隠れたテーマである“ティムシェル”を体現するつもりで演じています」

町田へのインタビューや取材では、町田語録ともいえるこのようなちょっと小難しい言葉が並ぶ。

 

選手としての姿勢や生き方を本から学ぶことが多いという町田。
実際に「競技も人生も、本にインスパイアされてきた」と語る町田に、本と、フィギュアと、町田樹の深い関係を聞いた記事が載っていた。

 

町田は、「一流とはどういうことか、ということをよく考えます。僕はフィギュアスケーターとしても、人間としても一流になりたい。そのためにいろんな考え方や生き方を知りたくて本を読みます。」と話す。
(NEWSポストセブンより引用)

 

例えば、折にふれて読み返す大切な本の一つに、『外科医 須磨久善』
(海堂尊著)があるという。
須磨先生は日本初の心臓難手術『バチスタ手術』を行った人、そしてその作者である海堂さんは大好きな作家だといい、ほぼ全ての本を持っていると話す。

 

そして、町田がこの本から学んだのは、試合に臨む心構え、精神の落ち着かせ方だという。
ドラマの『チーム・バチスタの栄光』のモデルにもなった天才外科医の極意を、町田はどうやって自分のものにしていったのか。

 

須磨先生は、手術前にあらゆる事態を想定するといい、そうすると自ずと悲観的な考えになるという。しかし、その悲観的なイメージを出し切ることで、次第にポジティブな方向へと変わっていくのだという。
『手術前の扉に立つ瞬間には、絶対に成功するイメージをつかめるように流れをもっていく』と『外科医 須磨久善』にはあるという。

 

 

それを、町田自身はスケートになぞらえてこのように話している。
(NEWSポストセブンより引用)

「僕は以前は、試合前に、あの選手に勝つためにはジャンプの失敗は一回までとか、これくらいのスコア出さないと次につながらないとか、かなり考えていたんです。でも須磨先生の本を読んだこともあり、昨シーズンからは、練習と試合では“意識をスイッチ”するようにしました。」

そして、「練習では他選手を思い切り意識するし、スコアのことも緻密に考える。だけど、試合になったら一切忘れる。自信のあるプログラムを、心をこめてみなさまに届けることに一意専心する。練習の時はスポーツ選手だけど、試合では演技者として氷に立つようになりました。」

と本から学んだことを、自らに置き換えて実践している。

 

 

又、それ以外にも部屋の乱れは心の乱れであり、心を整えたいときは、まず部屋を片付けること、そして、昨年、町田の練習の風景で良く見られたコンパルソリー練習も、昨シーズン、町田選手が練習に取り入れたフィギュアスケートの基礎練習だが、そういった基礎や初心が大切であることも、書物から学んだことだという。

 

そして、スポーツにはつきものの「失敗」への対処方法についても、このように話している。

自分の20年のスケート人生を振り返ると、失敗のほうが多かった、だから落ち込んでいるわけにはいかないと話す。
スケートに限らず、どんなに努力しても結果を完全にコントロールすることはできない。成功したとしても、偶然性も否定できない。
だから、起こってしまったことは偶然かもしれないけれど、そこから何かを学び取ることは「必然だ」と考えるようにしているという。

 

本から学び取った知識を読むだけではなく、自分で取り入れ、実践してみせる。
そのブレない信念と実行力が、昨シーズン、町田をあれだけ強くしたのかもしれない。

 

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