10月のアメリカ大会から始まったフィギュアのGP(グランプリ)シリーズ。
フィギュア好きな人ならよく知っていると思うが、このグランプリシリーズとは、国際スケート連盟(ISU)が承認するフィギュアスケートのシリーズ戦のことで、毎年この時期に行われている。
参加出来るのは、前年度の成績などにより『出場資格を満たした選手』たちであり、誰でも参加できるわけではない。
この出場資格を説明すると、とても長くなるので省略するが、いずれにしても、昨シーズンの成績上位選手が中心となる。
※過去10年の世界選手権で上位6位までに入った選手が復帰する場合などの出場枠を得ることができるというような出場資格要件など、色々な細かな出場資格のパターンがある。
開催は、アメリカ、カナダ、中国、フランス、ロシア、日本で開催される6大会で、各選手は最大で2大会まで出場することができる。
そして、その6大会の上位選手が出場するのが、『GPファイナル』だ。
この『GPファイナル』には男女各6名が出場できる。
現在、第4戦目までを終え、残すところ、22日開幕の第5戦フランス大会と、28日開幕の日本大会(NHK杯)の2試合となった。
ここまでの時点で、今年のGPファイナルの行方を考えてみたい。
●GPファイナル進出者に選ばれる基準は?
GPシリーズの成績は、ポイント制になっており、それぞれの1位~8位(ペアは1位~6位)までの選手にポイントが付与され、そのポイントの上位6名、6組がISUグランプリファイナルと呼ばれる大会に出場することができる。
因みに1位が15ポイント、2位は13ポイント、3位が11ポイントで、続いて一つ順位が下がるごとに9,7,5,4,3のポイントがもらえるしくみで、このポイント上位者の男女各6名がファイナルに進める。
昨日行われたロシア大会終了の時点で既にファイナル進出を確定させているのが、男子ではパビエル・フェルナンデス選手。
女子はエリザベータ・トクタミシェワと、アンナ・パゴリラヤ2人のロシア選手。
上記の3選手は、2大会の出場を既に終え、いずれかの大会で優勝(15ポイント)、もう一つの大会で2位(13ポイント)という成績をおさめており、28ポイントを獲得していることになる。
つまり、これに近いポイントを獲得することがファイナル進出の為には必要だ。
●ここまでの大会の上位者は?
第1戦のアメリカ大会で優勝したのが男子は町田樹、(2位ジェーソン・ブラウン、3位ナム・ニューエン)女子がエレーナ・ラジオノア(2位トクタミシェワ、3位グレイシー・ゴールド)。
第2戦のカナダ大会優勝者の無良崇人、(2位フェルナンデス、3位マックスアーロン)女子はアンナ・パゴリラヤ(2位アシュリー・ワグナー、3位宮原知子)
第3戦の中国大会優勝者のマキシム・コフトゥン(2位羽生結弦、3位リチャード・ドーンブッシュ)女子はエリザベータ・トクタミシェワ、(2位ユリア・リプニツカヤ、3位村上佳菜子)
第4戦ロシア大会優勝者はパビエル・フェルナンデス、(2位セルゲイ・ボロノフ、3位ミハル・ブレジナ)女子は本郷理華が優勝した。(2位アンナ・パゴリラヤ、3位アレイン・チャートランド)
●今年は混戦!?ファイナルに進出できるのはどの選手か?
男子はソチ五輪金メダリストの羽生が、初戦となる中国大会で怪我をして、満身創痍で滑ったものの、本来の力を出し切ることが出来ず、結果は2位、次戦の出場も怪我の具合しだいで、まだはっきりしていない。
羽生と衝突したエンカンも、怪我をしたまま滑り、地元開催の大会の表彰台を逃し、GPファイナルはかなり厳しい状況と思われる。
ソチで銀メダルを獲得したパトリック・チャンは今シーズン、休養しており、昨年、高橋大輔の棄権で繰り上げ出場となった織田信成は引退・・・
昨年のファイナル出場選手の6名のうち、3人が出場できず、羽生の出場も微妙な状況の中、男子のファイナル進出者の顔ぶれは変わってきそうだ。
女子は昨年、GPファイナル出場選手6人中4人がロシア選手という状況で、その強さを見せ付けた。
当初、GPシリーズ第6戦の日本大会(NHK杯)に出場予定だったソチ五輪金メダリストのソトニコワ選手が右足首捻挫で欠場を発表したため、多少の入れ替わりはありそうだが、既に二人の選手のファイナル進出が決まっており、相変わらず女子のロシア選手は強いと思われる。
既にファイナル進出が決定した選手以外で、第4戦までの結果で優勝もしくは3位までに入っていて、第5、6戦を残している選手をピックアップしてみた。
男子は町田樹、無良崇人、マキシム・コフトゥンの3名が優勝しており、15ポイント、羽生、ボロノフ2人が2位の13ポイントで並んでいる。
女子はエレーナ・ラジオノアが優勝し、15ポイント、それを追うのが、13ポイントのリプニツカヤとワグナー、11ポイントの選手には、村上、宮原、ゴールドがいる。
まず順当に、前回の優勝者は2戦目によほど大崩れしなければ、ファイナルに進む可能性は高いと思われるが、試合の内容によっては、もう少し下位の選手にも可能性がないわけではない。
因みに昨年のファイナルに進出した選手のポイントの最低ラインは24ポイントだったので、前回4位(9ポイント)だった選手が優勝(15ポイント)する、又は、前回優勝した選手が4位以上の成績で終える、上位の成績を2試合揃える事が出来れば、可能性はあるかもしれない。
●日本の選手はファイナルに進めるか?
日本の選手がファイナルに進むために必要な順位を考えてみると、町田と無良は4位以内、確実に決めるには次の1戦も表彰台にのりたいところだ。
村上と宮原は、1戦目がともに3位なので、2位以上を狙う必要があるだろう。
羽生については、怪我の様子が大変気になるが、仮にNHK杯に出場できたとしたら、3位以内で24ポイントになるため、3位以上であればファイナル選出の可能性が大きくなる。
くれぐれも無理はして欲しくはないのだが・・・
そして、ロシア大会で優勝した本郷理華だが、1戦目が5位だった為、合計22ポイントとなっている。
ファイナルに進出する為には、2戦とも好成績を揃える必要があるため、厳しい状況かもしれない。
次戦のフランス大会には、男子は町田、コフトゥン、ドーンブッシュが、女子はリプニツカヤ、ワグナー、ラジオノアが出場する。
最終戦の日本大会には、羽生、無良、ボロノフ、女子はゴールド、村上、宮原が出場予定だ。
5,6戦目は上位選手の出場も多く、目が離せない試合になりそうだ。