錦織圭 躍進した一年で見せた強さとは?

      2017/10/19

ATPワールドツアー・ファイナル。
テニスに詳しい人なら知られた大会なのだと思うが、正直、錦織選手が出場したことで、初めてこのような大会があることを知った。

 

 

1月からの年間レースランキングを元に上位8人が選出される、まさに、その年に最も強かったテニスプレーヤーのスター選手が集まる大会だ。

 

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それにしても今年の錦織は強かった。その強さゆえに、TVやネットで取り上げられる機会が増えて、今までテニスに興味がなかった人たちも、錦織の活躍を通じて、テニスというスポーツを楽しむようになったという人も多いのではないだろうか。

 

4月のバルセロナで手にしたクレーでの初タイトル、念願のトップ10入りを果たすと、翌5月には初のマスターズ決勝進出も果たした。

 

9月の全米オープンでは、次々と日本人男子選手の記録を塗り替え、4大大会シングルスでは男女通じて、日本人初、男子に限れば、アジア出身選手初のグランドスラム4大大会シングルス準優勝を果たした。

 

全米オープンから間もなく、試合が続く厳しい状況の中、プレッシャーの中で勝って初めて涙した楽天ジャパンオープン、そして最後はトップ5の仲間入りを果たし、アジア人で初のATPワールドツアー・ファイナルへの出場。

 

良い時ばかりではなく、腰や足の怪我など、苦しんだときもあったが、終わってみれば、日本のテニス界の記録を次々と塗り変えていった。

 

錦織が強くなった要素の一つに、2013年の秋頃から錦織のコーチに就任したマイケル・チャンの影響が大きいといわれている。

 

マイケル・チャンは1972年、アメリカ生まれ。
プロのアスリートとしては、小さな身長の175センチと小柄だった。

 

プロの男子テニスプレーヤーが放つサーブは平均しても時速200キロを軽く超えているだけに、やはり身体が大きな欧米系のプロ選手が有利だといえるのだが、マイケルチャンは体格で不利な状況を感じさせないプレーで1988年にプロ入りすると、翌1989年には全仏オープンでフルセットの上、優勝。4大大会の全仏オープンでさらに、その年令が最年少(17歳3ヶ月)という大記録だったため話題になった。

 

つまり、身体の大きな選手ではないのに、体格で不利な状況を感じさせない、「カラダが小さいことを逆に利用する」戦い方を指導できるコーチであり、同じようにテニスプレーヤーとしては小柄な錦織のコーチとして、向いていたのではないかといわれている。

 

「自分が持っている身体で最大限、試合で勝つ方法を見つけること」を指導してくれたのがチャンコーチなのだろう。

 

マイケルチャンのコーチ就任後、2013年12月前半からフォームの改造や微細なスキル面での調整、かなりキツイトレーニングをしたようだが、錦織は「練習から帰って寝るだけ。疲れて家族とも話せないような日々が続いた」、「部活の合宿のイメージ」だというほど練習がきつかったことを話している。

 

そして、チャンコーチになってから、強くなったと言われるのが、錦織のメンタルの部分だ。

 

錦織は以前、心理面で教わったこととして
「一番心に残っているのは、練習で自分をどれだけ追い込むかによって、試合を楽に戦えると。練習はきついし、いじめられている。ただ、今までにないやる気というか光は見えてきた。」と話している。

 

技術面と肉体の強化を図ってきたことにより、結果が出てくるようになった今季、その自信が付いたからかもしれない、躍進の背景として、「もう勝てない相手はいない」といった強気な発言が増えたことは、錦織の精神面の変化としてよく語られる。

 

最初は戦略的なところもあっただろうが、まず言葉にすることで、その自覚を高めたということだ。同じ言葉でも口にするたびに力がこもり、自信がみなぎっていくのが分かった。

 

錦織がかつて、憧れの選手と試合いができることでワクワクしているとコメントした際、チャンコーチが錦織に「トップ選手と戦う上で『相手を尊敬しすぎて、気後れするな』」とメンタルを強く持つことをアドバイスしている。

 

「俺には出来るという精神がなければ、何も成し遂げられない」というチャンの言葉を信じてこれたのも、日々のつらい練習の積み重ねによって、自分を信じることが出来たからだともいえよう。

 

マイケルチャンというコーチとの出会いで、錦織圭選手の能力は覚醒したともいえそうだ。

 

ツアーファイナルの順決勝では、一次リーグの3試合で1セットも落とさずにきたノバック・ジョコビッチからセットを奪い、一時は流れをつかんだ。

 

わずかなミスから勝機は逃げてしまったが、今年、自身のテニスに磨きをかけた錦織。来季はさらなる活躍を見せてくれるに違いない。
 

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