つんく♂生きる道を選び声帯を摘出 食道発声法とは?

歌手であり、音楽プロデューサーでもあるつんく♂が、母校の入学式の祝辞の中で、声帯を摘出したという衝撃的な発表をしたのが4日のことだった。

 

 

近畿大学の入学式にサプライズで登壇したつんく♂は、式の最後に司会者に紹介されて登壇、ステージ脇に並べられた2基のモニターで、「なぜ祝辞を読み上げられないか。声帯を摘出したからです」と字幕を流して告白、約6分間、字幕が流れる間、会場は水を打ったように静まりかえり、直後に大きな拍手がわき起こった。

 

新入生たちはつんく♂さんのギターの伴奏で校歌を合唱、つんく♂が口元を何度も「おめでとう」と動かしている姿が印象的だった。

 

歌手という声を生業にしている人が声を失うことの思いは図り知れない。しかし、つんく♂は声帯を摘出、生きる道を選んだ。

 

2009年に亡くなったロック歌手の忌野清志郎さんも、立川談志さんなども喉頭癌を患ったが、手術を回避している。

 

歌手で俳優の泉谷しげるは6日のラジオ番組で「声を選んで死んだ忌野清志郎と逆なんだよ。生きる方を選んだんでしょ、つんくさんは。(忌野さんにも)生きる方を選んで欲しかった」と語っている。

 

実際、つんく♂が生きる道を選び、声を失ってしまったことにショックを受けつつも、生きる道を選んでくれたことに、ありがとうといったコメントは数多く見られる。

 

つんく♂が祝辞の中で語っていた「こんな私だから出来る事。こんな私にしか出来ない事。そんな事を考えながら生きていこうと思います。」という言葉通り、自らの声で歌を届けられなくても、音楽を通じてつんく♂だからできる事をきっと見せてくれるに違いない。

 

そんな中、朗報もある。

 

声帯を全摘出したつんくだが、関係者によれば「なんとしてももう一度自分の声で言葉を発したい」と伝えているといわれ、その為の発声法である「食道発声法」を、同発声法を研究する団体のもとで、先日リハビリを開始したといわれる。

 

発声については、機械を喉に当て、比較的簡単に音声を発することが出来る電気式人口咽頭というものがあるが、つんく♂の関係者によれば、その機会に頼る気持ちは全く無いようだと話す。

 

つんく♂が取り組んでいる食道発声法とは、肺でなく胃にためた吸気を逆流させ、食道の一部を振動させることによって発声させるというもので、つんく♂のスタッフで同じく声帯を全摘出した人物が、この発声法を用いて、電話での会話を難なくこなせるまでになったことに深い感銘と影響を受けたといわれる。

 

この食道発声法は、難しいと言われるものの、一般的には早ければ一年ほどで声を発することが出来るようになるようで、つんく♂はこの技法の習得を当面の大きな生きがいの一つに位置づけているという。

 

関係者は「(つんく♂は)もともと集中力が凄い。かなり早く身につけるのでは」と話し、所属事務所はじめ、関係者も全力を挙げ、サポートするという。

 

関係者によれば、まずは声を取り戻すことに専念しており、まだ歌おうという気持ちはないようだとしたが、いつしか歌いたいという気持ちになってくれると嬉しいし、そのために周囲は支えを惜しまないと激励の言葉を贈っている。

 

習熟度を高めれば、元の歌声は望めない間でも、再び歌うことも可能と言われるこの発声法。

 

つんく♂が再び声を取り戻し、元気な姿を見せてくれることを応援したい。

 

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