フィギュア世界選手権開幕 女子SP首位は3A成功のトクタミシェワ

フィギュアスケート世界選手権が25日、上海で開幕した。
26日、女子のSPが行われ、首位で明日のフリーに折り返したのはロシアのトクタミシェワ選手。

 

選手権前からショートにトリプルアクセルを入れるのではといった話は聞かれていたが、実際に国際大会で成功している選手は過去に5人しかいない難度の高いリスクを伴うジャンプだ。

 

公式練習で彼女は3Aに挑んでいるが、ショートプログラム(SP)の曲をかけた冒頭で跳んだものはオーバーターン、その後の曲がかからない状況では着氷するものもあるという状況だった。

 

しかし、SPに3Aを組み込んだトクタミシェワは、演技最初のジャンプで高さも充分なトリプルアクセルを綺麗に着氷、その後、3ルッツ、3トーループの連続ジャンプと、その他のジャンプも全て決めると、身体全身で喜びを表現した。

 

演技後は「驚いている。これは夢なのか?本当に世界選手権で決めたの?と思った」と満足そうな笑みを浮かべ、結果、2位の選手を大きく引き離す世界歴代3位となる77,62点で首位となった。

 

因みに世界歴代ベスト3は以下のとおりだ。

1位(78.66点)浅田真央/2014年世界選手権
2位(78.50点)キム・ヨナ/2010年バンクーバー五輪
3位(77.62点)E・トゥクタミシェワ/2015年世界選手権

 

国際大会の女子でトリプルアクセルに成功したのは昨年の浅田真央以来で史上6人目となる。

 

試合後のインタビューではSPに3Aを入れた理由を、男子も4回転を3回入れてくる時代と話すと「(3Aを入れるには)リスクがあるとわかっているが、フィギュアスケートが進化していくために必要」と説明した。

 

欧州選手権では優勝したものの、自国ロシアの選手権では16歳のラジオノアについで2位と、僅差の争いをしているわけなので、ジャンプのミスはそのまま順位を落としかねない。
こんな話は浅田真央選手がどんなに不調でも3Aにこだわり続けた時に散々出た話ではあるのだが・・・

 

今年の世界選手権は誰が表彰台に上っても「初」という、まさに世代交代を印象づける大会となっており、ここで勝ちたいという思いはどの選手も大きいだろう。
もちろんトクタミシェワはその有力候補であり、無理に3Aを跳ばなくても勝てる可能性は高かったのだが、この高得点が明日のフリー終了後にどの様に生きてくるのかも興味深い所だ。

 

フィギュアスケート日本女子ファンブック PATINAGE〈パティナージュ〉2015 (SJセレクトムック No. 25)

そして、日本からは、全日本選手権で優勝した宮原知子、本郷理華、村上佳菜子の3選手が出場している。

SPの結果
1.エリザベータ・トクタミシェワ
2.エレーナ・ラジオノア
3.宮原知子
4.村上佳菜子
5.本郷理華

 

ショートを終えて、やはりロシアの選手が上位であることは予想通りだが、3、4、5位と日本選手が並んでいる。

 

3人共ジャンプのミスもなく、それぞれパーソナルベストも更新するというベストな滑りを見せた。

 

特に村上は、全日本選手権で回転不足の判定により、大きく点数を落とした後、これまでの間ジャンプの改造にも取り組んできたが、今大会のSPではいずれのジャンプも成功させ、自信を取り戻したのは大きいだろう。フリーでも納得の行く滑りを見せてほしい。

 

●表彰台の順位は来シーズンの出場枠にかかっている

日本勢は2006年から9年連続で表彰台に上っており、03年から今まで出場枠3も維持してきたが、ロシア選手の台頭で今年は厳しい状況で有ることには変わりない。

 

因みに3人が出場する国は、そのうち上位2人の順位の合計が13以下であれば、来年も最大の3枠が維持でき、14~28だと2枠となる。

 

例えば、今回のSPの結果でアメリカを例に取ると、ポリーナエドモンズが7位、グレイシー・ゴールドが8位、そしてアシュリー・ワグナーは11位だったのだが、上位2人の合計順位を見ると15となる。
現在のままでは13以下となるので、フリーで現在の順位より上に行かないと、アメリカの出場枠は現在の3枠から2枠に減ってしまうという形だ。

 

日本の女子はかつては大会で出場枠が1しかなかったが、03年大会から3枠に戻った。
より多くの選手が世界選手権に出場できることは、国際舞台の経験を積んだり、審判員らに存在をアピールしたりする意味で大切であり、日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長は「何とか3枠を取りたい」と語っている。

 

フリーの演技ではジャンプの回数も増え、成功したら大きいが、ミスした場合も減点が多くなる。
最近は多くの選手が連続3回転ジャンプを組み込み、演技構成に大きな差がないため、回転や踏み切りの正しさ、着氷の美しさなどが重要になっている。

 

回転不足や、踏み切りで正しいエッジの使い方ができていないと判定されれば、出来栄え点(GOE)で減点され、得点を伸ばせない。

 

得点を左右するのはミスせず跳べること以上に、ジャンプの「質」となる為、選手にはプレッシャーも大きいと思われるが、フリーでは日本の3選手がロシア選手にどこまで迫れるか注目したい。

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