GPシリーズカナダ大会 羽生SPまさかの6位スタートで波乱!

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダ第1日は30日、カナダのレスブリッジでショートプログラム(SP)が行われた。

 

日本からは羽生結弦他、村上大介、川原星が出場、休養明けのパトリック・チャンとの対決にも注目が集まる。女子は日本から村上佳菜子、永井優香が出場、15年の世界女王エリザベータ・トクタミシェワ、アメリカのアシュリー・ワグナーが出場している。

 

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羽生にとってグランプリシリーズ初戦となる今大会、波乱のスタートとなった。

 

演技前の6分間練習で3アクセル、4トーループを綺麗に着氷させ、安定感を感じさせた羽生だったが、演技の中でジャンプのミスが大きく響き、73,25点で6位とショートで出遅れた。

 

ショートは昨季と同じショパンのピアノ曲「バラード第1番」。
昨シーズン、事故や体調不良などのアクシデントなどにより当初の構成通り出来なかったプログラムに今シーズン再度挑む事にした羽生だが、その構成は前半に3アクセルを飛び、後半に4回転、3ルッツ-3トーループのコンビネーションを入れるというもの。

 

冒頭の3アクセルは流れのある綺麗なジャンプを飛んだものの、後半の2つのジャンプにミスが出た。
4回転トーループが2回転に、3ルッツ+3トーループの予定が、3ルッツが詰まり気味になり次のジャンプが2回転になるミスにより、2つのジャンプの得点が0点になったのが響いた。

 

羽生は自身の演技に「ひどかったですね」とコメント、「点数を考えたら、自分の今まで出してきた点数には程遠いですし、ジャンプの点数2こないので・・・」と話した。
明日に向けては、「今は失敗の原因、良かった点、悪かった点を含めて見直して、明日のフリーまでにしっかり仕上げていければ」とコメントした。

 

尚、ショートを終えて、首位は80.88点の村上大介。
2季ぶりに復帰した元世界王者のパトリック・チャン(カナダ)が80.81点で2位につけ、川原星は67.36点で9位だった。

 

女子はアメリカのアシュリー・ワグナーが70.73点を出しSPを1位で折り返した。16歳の永井優香が63.35点で2位、村上佳菜子は59.79点で3位につけている。
女子も世界女王のエリザベータ・トクタミシェワが出場しているが、ジャンプのミスが響き、55.37点とこちらも出遅れた。

 

●なぜ羽生の2つのジャンプは0点になった?

 

昨年、中国大会で他選手と激突後、怪我をおして出場したNHK杯のSPの時の点数でさえも78.01点だった羽生。
このときは4回転に挑戦するも、転倒が見られたが、それなりの得点を出している。

 

今回は転倒はしていないものの、4回転がジャンプがすっぽ抜けて2回転になり、3-3のジャンプのセカンドジャンプが2回転になった。転倒した方が得点が得られないという印象もあるが、実際はそうともいえないようだ。

 

例えば、各ジャンプにはそのジャンプに成功した場合の基礎点という決められた点数があり、4トーループの基礎点は10.3点。
4回転回りきって転倒した場合、GOE(出来栄え)で3点引かれて7.3になる。
転倒による減点がマイナス1あるものの、回りきっていれば、転倒しても7.3-1.0で、6.3点もらえるのである。

 

しかし、これが回転不足での転倒だった場合は、基礎点とGOEの両方で減点されることになる。
4トーループであれば、回転不足の場合、基礎点が10.3から7.2となり、そこからさらにGOEで3点マイナスされて4.2点、転倒による減点でマイナス1が入り、3.2点。

 

このように、転倒したジャンプでも回転が足りているかいないかで、点数に大きな差がついてしまうことになる。

 

つまり回りきって転倒すればあまりダメージが少ないのに対して、すっぽ抜け(パンク)やコンビネーションにできなかった場合は、得点的に非常に厳しいものとなる。

 

しかしこの理屈だけでいうと、得点は非常に厳しくても、0点になることはないのではと思うのだが、そこは下記のようなルールがある。

 

●SPに定められた7つの課題とは?

 

※シニアの場合

①.ダブルまたはトリプル・アクセル

②.ステップより直ちに行うトリプル(男子は4回転も可)・ジャンプ

③.②とは異なる種類のジャンプ・コンビネーション(男子: 2-3回転、3-3回転、2-4回転、3-4回転 女子: 2-3回転、3-3回転)

④.フライングスピン

⑤.男子:dとは異なるポジションの足かえ1回のキャメルまたはシットスピン  女子:レイバック・スピンあるいはサイドウエイズ・リーニング・スピン

⑥.足かえ1回、少なくとも2種類の基本姿勢を含むスピン・コンビネーション

⑦.氷面を十分に使用したステップ・シークエンス

 

毎年見直されているフィギュアのルール、このうち3つがジャンプの課題だが、要求を満たさないジャンプは「無価値」となるというルールがソチ五輪以降新たに加わった。

 

以前までのルールだと、例えばジャンプのタイミングが合わずにダブル以上ジャンプがシングルジャンプになってしまった場合、出来栄
え点(GOE)は最低評価の「-3」とされても、シングルジャンプの点数そのものは入っていた。

 

今回の羽生選手は、この規定に沿わないジャンプにより、得点が得られない結果となったのだ。

 

しかし、明日は得点の大きいフリー。
十分巻き返しが可能な点差とも思われるので、明日の演技に期待したい。

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