女子フィギュア・浅田 またロシア勢のあと最終滑走!3アクセルの調子は?

ソチオリンピックでフィギュア女子ショートプログラム(SP)の滑走順抽選が2月17日、「アイスベルク・パレス」で行われ、浅田真央(中京大)は5組の最終滑走の30番で滑ることが決まりました。

主な注目選手の滑走順は以下の通りです。

浅田真央 そして、その瞬間へ (読み物単品)

 

鈴木明子  4組24番
村上佳菜子 4組20番
キム・ヨナ 3組17番
リプ二ツカヤ25番
コストナー 26番
ソトニコワ 29番
浅田真央  30番

 

試合は19日午後7時(日本時間20日午前0時)から始まり、浅田は午後11時20分ごろ(同午前4時20分ごろ)に演技を開始するといいます。

 

団体戦が終わり、日本が拠点を置くアルメニアで再調整をした浅田。
15日に再びソチに戻ってから初練習を行った16日、3アクセルや、3-3の連続ジャンプを行うなどを決めて順調さをうかがわせました。

 

浅田真央といえば誰もが注目しているのが”トリプルアクセル”について。

 

トリプルアクセルは確かに成功すれば基礎点の高いジャンプですし、現役で、又、今回オリンピックに出場している選手でもこのジャンプが飛べるのは浅田だけですので、成功すれば大きなプラスになりますが、団体戦の演技のように、ミスをすれば上位との差が大きくついてしまうリスクも伴います。

 

日本のファンもこのトリプルアクセルについては、NHK杯で飛んで以来、試合で成功していないこともあり、一番心配している部分だと思います。

 

17日に行われた会見でもこの3アクセルについて、アメリカの記者から「(3アクセルは)”飛びたいジャンプ”ではなく”飛ばなくてはいけないジャンプ”になっていると思う。他のジャンプに変えようと思ったことはないか」という鋭い質問受けていた浅田選手。

 

この質問に対して浅田は「団体戦では自分の気持ちの部分で負けてしまったと思っています。なので、この自分の個人戦では自分の演技に集中をして出来るという気持ちを持ってやることが一番大切だと思っています。今の時点では練習でもそこまで大きな負担にはなっていないと思っていますし、それ(3アクセル)があるから、自分も強くいられると思うので、今回は飛びたいという気持ちがすごく強いです。」と話しました。

 

「トリプルアクセルがあるから自分が強くいられる」と語る浅田の言葉には強い意志を感じました。

 

浅田は今大会ではSP(19日)とフリー(20日)で1回ずつ、トリプルアクセルを入れる予定にしていますが、先日、TV番組の解説をされていた佐野稔氏は、浅田選手がフリーの演技で3アクセルを跳び、3-3も跳ぶ、そして一回の滑りの中に3回転を8回入れるプログラムで、8トリプル(エイトトリプル)の構成にしていると話していました。

 

アクセル、ルッツなど全6種類をすべて跳び、さらにすべてを3回転以上で入れる構成は五輪史上初だといい、まだ成功した選手はないといいます。

 

実際に浅田は今シーズン当初、3アクセルをSPとフリーで合計3回飛ぶとしていましたが、五輪出発前のインタビューでは2回にすると話していました。
そして、集大成として今まで佐藤コーチと1から見直してきたすべての(ジャンプの)要素を入れるのもいいのではないかと話していたともいわれていますので、試合で本当にこの構成で挑んでくるとしたら、かなり難度の高いものになりますし、成功すれば得点も大きく伸びてくると思われます。

 

アルメニアでの調整後の練習ではジャンプも調子よく決めていますので、後は浅田が団体戦後に話していたオリンピック特有の雰囲気、ロシアの選手に対する大歓声など重圧に「緊張してしまった」というメンタルの部分の課題になってくると思われます。

 

この精神面(メンタル)について、以前、1998年長野五輪のフィギュアスケート女子を史上最年少で制したタラ・リピンスキーさん(31)が今回のソチ五輪で米NBCテレビの解説者として参加されていますが、元五輪のメダリストとして「五輪はメンタル90%、フィジカル10%だ」と話している記事が日本経済新聞に載っていました。

 

そこでタラ・リピンスキーさんはこのように話しています。
「五輪というのは予測が難しい。どんな一流選手でもわずかに体が震えてしまう。それをねじ伏せられるのは”私はやれる”という自信だけ。上位10選手のプログラムのレベルに大差はない。勝敗を分けるのは力を出し切れるか。五輪に関していえばメンタル90%、フィジカル10%だと思う」

 

確かに、他の競技でも確実にメダル候補と目されて挑んだ試合で、残念ながらメダルが取れなかった選手がいるように、実力があっても必ずメダルが取れるというわけではないのがオリンピック。

 

五輪には魔物が住んでいるといわれますが、優勝した羽生選手はインタビューで、「オリンピックには魔物が住んでいると言われていますが、どのように感じていますか?」という質問に「魔物は自分の中に住んでいるんだと思います。」と話していましたね。

 

各選手、誰もがこの日のために練習も十分に積んできているはず、だとすれば後は自分のメンタルをいかにコントロールできるかということなのかもしれません。

 

最終滑走、そしてロシア選手の後というのはやはりプレッシャーのかかる順番なのかもしれませんが、大きな大会で最終滑走の経験も多い浅田選手なので、何番目の滑走であっても力を発揮して集大成の演技を納得のいくものにして欲しいと思います。

 

このタラ・リピンスキーさんが語る五輪出場の有力選手についてのコメントは以下の通りです。(日本経済新聞より引用)●キム・ヨナについて「ヨナは1年間休養して、昨年3月の世界選手権を制したのには驚いた。ジャンプも戻っていたし、ミスがない。スケートの才能に加え、ずばぬけた度胸もある。でも、バンクーバーのような完璧な演技がまたできるとは思えない」「彼女は金メダルをとれるだけの基礎点はあるし、メンタルはめっぽう強いから。一方で彼女より基礎点が高い選手がいて、面白い戦いになる」

※この4年間で金妍児のジャンプ構成は世界トップ級とは言えなくなった。今季は小さな国際大会と韓国選手権の2大会しか出場しておらず、判断が難しいということも話しています。

●浅田真央について

「審判はいつもヨナに注目して、真央はレーダー圏外のような面があったけれど、今季は違うと思う。スロースターターの真央が素晴らしいシーズンを送っているし、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は魅力的」「彼女は挑戦を恐れず、練習熱心。彼女はリンクの外でも氷上と同じようにすてきな女性でしょう。そうでない人も多いから」

(浅田が3アクセルに挑戦することに対して)
「信じられない。だから、真央はすごい選手なの。それを怖がっていたら、真央でなくなってしまう。バンクーバーもそうだったけれど、真央は『跳ぶ』という強い意志がある。クリーンに滑れば、金メダルを取る可能性は十分あると思う」

●ロシアの選手について

「アデリナ・ソトニコワ(17)とユリア・リプニツカヤ(15)。ロシアがソチのために育てたと分かる。私はユリアが好きよ。今季、グランプリ(GP)シリーズで結果は良くても内容に不満だったと、インタビューでふてくされた。簡単に満足しない女王のメンタリティーを持っている」

「ソトニコワは12歳から注目されたソチ期待の星で、3回転ルッツ―3回転ループの連続ジャンプがあり、何でもできるといっていい。ただ、ショートプログラム(SP)とフリーで、すべての要素をこなせるか。一大会の中でアップダウンがあるから、五輪はきついかもしれない」

●イタリアのコストナー選手について

コストナーはトリノ五輪から3大会連続出場となる。その滑りの美しさは群を抜くと前置きし、「しかも誰よりも速い。でも彼女は高難度の3回転ジャンプ、ルッツとフリップを1つずつしか跳ばない。2年前なら演技構成点を稼げば女王になれたけれど、状況は変わってしまった。ノーミスが絶対条件だから、厳しいと思う」

●アメリカのグレーシー・ゴールド選手について

「グレーシーは私が長くスケートを見てきた中で最も才能のある選手の1人。ジャンプに欠点がない。ただ、自分に自信を持ちきれず、試合では練習のときと別人になってしまうことがある。全米では克服していたけれど」

 

 

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