体操世界選手権 内村航平 メダル数歴代単独トップへ!その練習法とは?

2014年、中国・南寧で開かれた体操世界選手権で個人総合で金メダルを獲得し、6種目合計91.965点で前人未到の5連覇を達成した内村航平選手。

 

 

又、最終日は種目別決勝の鉄棒に出場、15.725点で銀メダルに輝き、このメダルの獲得により、総メダルが通算16個(金7、銀5、銅4)と、日本選手で監物永三の15個(金7、銀5、銅3)を上回り、単独最多日本選手で歴代単独トップという新たな記録を打ち立てた。

「自分を生んでくれた人」

 

出場するたびに自身の記録を塗り替えていく内村。
その強さの秘密はどこにあるのだろうか。

 

内村は、6種目全ての種目を高い次元で演技する万能型、いわゆるオールラウンダーで、つり輪・あん馬・鉄棒・床運動・跳馬・平行棒などの競技で平均的に得点をとれる選手だが、それだけ演技の回数も増えるわけで、それらすべてにミスなく結果を出すことは難しい。

 

しかし内村は今回、予選から18回もの演技を通して、大きなミスをしなかった上、得点も全種目でただ1人、15点台を並べる総合力の強さを見せている。

 

インタビューで、内村にとって今年の世界選手権は?と聞かれると、
「ミスをしないで終われたことは個人的に一番大きい」と答えており、自身でも意識して演技に臨んでいたことがうかがえる。

 

天才といってしまえばそれまでかもしれない。
しかしその強さの裏には自らに課せる努力の成果もあるようだ。

 

コナミの監督によれば、内村は全くアップもしないで全種目をやってしまう練習をしているという。
それは、普通は出来ないことで、たぶん世界でも誰もいないと思うと話している。

 

一歩間違えば、選手生命を失うような大怪我をしかねないと言う体操界の常識を覆す練習法に、周りは冷や汗ものだと言うが、この想像を絶するような6種目通し練習を、ロンドン5輪前から自らに課していたことで、万全のコンディションでない状態でも高難度の技をこなせるようになったという。

 

加藤監督はこう話す。
「他の選手は、限界ギリギリの力を出し切っての勝負。航平は高難度の技をもっと習得しているが、あえて無理のない構成にとどめている。力の数十パーセントで戦える。」
(東スポより)

 

種目別の鉄棒で内村は種目別用にDスコア6.9から7.5へと難度を上げた構成で挑み、カッシーナ、コールマンなど、それだけでも難度の高い離れ技を連続で成功させて、種目のスペシャリストが揃う中、銀メダルを獲得した。

 

これだけでもすごいのだが、内村は終了後のインタビューで、演技の入りの部分でひねり技を入れるはずが上手くいかず、Dスコアをもう0.3上げる予定だったはずなのに、予定の演技構成でできなかった事を悔しがる発言をしている。

 

鉄棒だけでなく、種目別では、メダル有力候補の選手が演技に失敗する場面も多く見られた。それだけリスクがあっても攻めた演技を行わなければ、スペシャリストの中でメダルを獲得することが難しいことをあらわしている。

 

美しい体操をしながら、難度の高い技を目指すのは、とても難しいことだと思うが、内村はそれが出来るとても数少ない選手だと誰もが感じていることだろう。

 

しかし、体操はトップ選手の選手寿命が短いといわれる。
演技を見る限り、別次元の強さを見せる内村に衰えは感じさせないが、内村も25歳、男子の体操界では体力的な衰えを感じ始める年齢だという。

 

2008年北京五輪の頃から内村を見てきた今井トレーナーは、今年に入って疲労の回復や筋肉についた小さな傷の修復度合いが遅くなった。10代の頃は寝れば元気になっていたのにと話している。

 

それでも、内村が先頭を走り続けることで、全体の底上げが図られ、次代を担う若手の刺激にもなっていく。
若手が育てばチームとして結果も出てくる。

 

内村の悲願である団体の金メダルはわずか0.1点の僅差で今回も中国の壁に阻まれたが、本当に目の前まで見えてきた。

 

それを掴み取るまで、そして、今後も続けられる限り、体操界に新たな歴史を刻んでいって欲しい。

 

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