テレビ番組やネット上で、他人の握ったおにぎりが食べられないことを公言する芸能人を最近よく見かける。
潔癖な芸能人としてよく名前のあがる人たちばかりかといえば、そうでもなく、その傾向は一般人にも言えるようだ。
素手で握ったおにぎりが食べられない人は増加傾向にあり、小学生の4人に1人が他人が握ったおにぎりに抵抗を感じているという調査結果も出ているという。
実際に今日のニュース番組では街頭インタビューを実施、100人中17人が食べられないと答えたが、では、飲み物の回し飲みは?と聞かれると、そのほとんどが「それは平気」と答えていた。
つまり、回し飲みより、他人が手で握るおにぎりの方が抵抗があるという話のようだ。
週刊誌でも、調べた他人の握ったおにぎりを食べることに「抵抗」があるかという質問をしており、「ややある」「非常にある」と答えた人が25%で、実に4人に一人だという。女性だけで見ると30%もの人が抵抗を感じているという結果だったという。
そして、なぜ抵抗があるのかという理由にはこのような話があがっていた。
過去のトラウマとは無関係だが、「お米の粒がつぶれたみたいにくっついていて、指のあとがついている感じが生理的にNG」(36才・主婦)と、人の手で握られていることそのものに抵抗を感じる人もいた。
(女性セブンより)
コンビニで売られている、機械が握ったおにぎりは平気でも、人が握ったものには抵抗を感じてしまう。
こうした傾向は最近増えてきたもので、日本人の衛生観念の変化が大きく影響していると専門家は話している。
様々な抗菌グッズが出回り始め、体に悪影響をもたらす菌だけでなく、すべての菌というものに対して無条件に恐れを抱くようになったという。
社会心理学者の竹内氏は、「以前は、生身の手で握ったおにぎりに『人間のあたたかさやぬくもり』を感じたものです。人の手で握ったおにぎりを食べられず、機械で作られたコンビニのおにぎりだけ食べられるというのは、世の中が機械的、無機質的なものしか受け入れられなくなってきているのだと思います」と話し、その背景にあるのは、親戚づきあいや地域のコミュニティーの希薄化だと指摘している。
それでも母親のおにぎりなら平気というのは、そこに親への信頼感があるからです。他人のおにぎりを食べられなくなってきている社会というのは、他人を信頼できない社会とも言えるかもしれません」
(女性セブンより)
今日のテレビで、1分間しっかり手を洗った後、素手で握ったおにぎりと、ラップに包んで作ったおにぎりの菌の数を数時間後に測定してみるといった実験を行っていた。
ラップで作ったおにぎりは、菌が元々なかったからか、増えることもないのだが、手で握ったおにぎりには多少、菌の増加が見られた。
しかし、その菌の量というものは、体に対して全く影響を与えるような菌の量ではなく、むしろ、生のレタスの方がはるかに多くの菌があるという結果だった。
「菌」に関してだけの話であれば、全く気にすることはないレベルなのだが、他人のおにぎりを食べられないというのは、やはり精神的な部分の影響が大きいのだろう。
そんな話の一方で、東京・秋葉原にアイドルやタレントの卵がおにぎりを握ってくれるという「ガルむす」という店が4月にオープンしたり、創業55年のおにぎり専門店「ぼんご」では、素手でおにぎりを握る職人の姿があった。
店長の越部努さんは、「手のぬくもりとか塩加減とかっていうのは直接手に触れないと伝わらないものが絶対にあるんですよ」とコメントしている。
他人の作ったおにぎりは食べられない人が増加傾向にある一方で、他人が握ったおにぎりをあえてプレミア商品にしているお店も登場するなど、人の思いは様々なようだ。