相次ぐ食品異物混入問題 本当に増えているのか?

今年に入って又、日本マクドナルドが異物混入問題で揺れているが、ここ最近、食品メーカーの商品に虫などの異物混入が明らかになる事例が相次いでいる。

 

 

昨年12月、人気のカップ麺「ペヤングソースやきそば」にゴキブリが混入していたことが、消費者のネット投稿をきっかけに発覚して大きな話題となった。

 

日清食品冷凍の冷凍パスタでも同月、一部からゴキブリが見つかり、約75万食の自主回収を決めたが、6月にはマルハニチロが金属片混入でサケ缶詰を約108万個、9月には日本コカ・コーラがカビ混入で清涼飲料水約67万本を自主回収すると発表した。

 

今年に入ってからも「和光堂」販売のベビーフードからコオロギ見つかったとされる件、マクドナルドのチキンナゲットやポテトに異物が混入していた問題など、ここに来て次から次へと、異物混入の問題が噴出したような状況だ。

 

実際に、以前に比べてこうした問題が増えているということなのだろうか。

 

食品防御(フードディフェンス)に詳しい奈良県立医大の今村知明教授(公衆衛生学)はこうした現状について、この様に話している。

 

「食品への異物混入が単純に増えているのではなく、企業側に苦情があった場合、かつて個別に対応していたものが、近年はネットの普及などもあり、製造を止めて自主回収するようになったため大きな社会問題になっている」とみる。
(産経新聞より)

 

その上で、そもそも食品から虫など異物の混入を完全に防ぐのは難しく、重要なのは混入原因の特定と、衛生・品質管理が徹底されているかどうかで、企業側や消費者も過剰反応することなく、冷静に対応することが必要だと指摘している。

製品中の異物混入とその対策―異物分析の手法と実例

 

確かに今回のマクドナルドのように、食品にそもそも食べられないビニールのようなものが入っているのは論外だろう。

 

虫の混入ももちろん、消費者としての不安は大きいが、どれほど衛生、品質管理を徹底しても、防ぎようのない範囲というものがあるのかもしれない。

 

考えてみれば、自分自身、今までにそうした食品に出くわしたことが無かったかといえば、ゼロではない。
こうした問題があった場合、その品をもって行き、新たな品と交換してもらう程度であり、その事を口外したとしても僅かな人数に過ぎない。

 

今ほどネットが普及していなかったこともあるだろうが、今は恐いほどに一つのつぶやきが拡散してしまう時代だからこそ、逆に注意が必要なのかもしれない。

 

じつは食品全般に対し、都内では年300件の「異物混入」の苦情が寄せられており、こうしたトラブルは消費者庁などのサイトで公開されているという。

 

ペヤングや日清の麺に混入していたとされる「虫」は、ゴキブリだったり、ある程度大きさもあったりで、それを画像で見ると余計に気持ち悪く感じるものだが、種類はともかく、以前から虫自体の混入というのは見られるらしい。

 

公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会のHPに「知らずに食べている異物混入昆虫」という昆虫についての記載があったのでまとめてみる。

 

食品混入昆虫を完全に防ぐことはほとんど不可能で、微小な種類はそれと気付かずに一緒に食べてしまっているケースが殆んどだという。
たとえば各種のスパイスに発生したコナダニ類、 緑色野菜のアブラムシ類など。
差し障りがあり詳しくは述べられないというが、虫がついていても食品の腐敗が原因でもない限り、 通常はタンパク源になりこそすれ、まず衛生上の心配はないという。

 

又、アメリカでは食品医薬局が混入昆虫の最大許容レベルを定めているという。

 

例えば、ピーナッツバター100グラム当たり昆虫の断片50個まで。
カレー粉では25グラム当たり100個まで。缶詰トマトでは缶当たり果実を加害するミバエの卵5個とウジ1匹、ウジだけなら2匹まで、といった具合でこれはビックリするほど甘い基準だという。

 

つまりアメリカでは、バターに目立つほどゴキブリの破片が入っていても、ケチャップにいかに果実食の昆虫とはいえ、ウジが数匹入っていても消費者のクレームの対象にはならないのだというから驚きだ。

 

しかも、アメリカ当局は、「このレベルは殺虫剤を多用すればもっと下げられるが、無害な自然物の混入を殺虫剤の混入に置き換えることは賢明ではない」 とまでいっているという。

 

こうしてみると、すでにわれわれは知らずにたくさんの混入昆虫を食べているのかもしれない。

 

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