2月28日に行われた男子テニスのメキシコ・オープン決勝で、錦織圭はダビド・フェレールに敗れ、準優勝に終わったが、その試合で見せた「ラケット投げ捨て」が非紳士的行動として波紋を広げているという。
問題のシーンはフェレール戦の第2セットの第7ゲーム、錦織はブレークポイントを握られてからデュースに持ち込んだものの、直後に痛恨のダブルフォールトとなり、ラケットをコートに放り投げた。
もしかしたら、勢い余って手からラケットが滑り落ちてしまった可能性もあるというが、これが誤解を招きかねない行動だったというのだ。
この行動に会場はすぐさま反応し、それまで温かい声援を送っていたファンは初めて錦織にブーイングを浴びせたという。
中継していたスポーツチャンネル「GAORA」の実況者も「フラストレーションが爆発」と思わず声をあげたほどだった。
苛立ちからラケットを投げつけるようなシーンは、錦織だけではなく他の選手でも見たことがある。
現に昨年11月のATPツアー・ファイナルでの対戦時には逆にフェレールがラケットを叩きつけて折っており、確かに見ていてあまり気持ちの良いものではないが、苦しい戦況の中でこのような行為となることは時折あることだろう。
しかし、なぜ今回、こうした行為が波紋を広げているのだろうか。
「特に南米のシリーズを見ていると、お客さんがバッドマナーに対して厳しい。ものすごくブーイングが上がっている。南米のお客はサッカーを見ている文化があるので『いい』『悪い』がはっきりしている。特にブラジルはハンパなかった。(錦織は)いい方向にプレーしないといけない」
(東スポWEBより)
ブラジルといえば親日派が多く、錦織にもリオ五輪で日本のような声援を受けられる可能性が高いという。
異国の試合で大きな声援を受けることは選手の後押しとなるが、プレー一つで風向きが変わってしまうとしたら残念なことだ。
そもそも、海外において、日本人は凄くマナーが良いことで有名だといわれる。
リオ五輪だけではなく、4大大会初制覇を狙う錦織にとってはせっかく持たれている良い印象を、ささいなことで評価を落とすのは損なことだろう。
錦織は2月のメンフィス・オープン後にインフルエンザに感染し、十分な練習を積めなかったのに加えて、決めきれないポイントが積み重なって、焦りがプレッシャーに変わり、ミスが増えてしまったと精神面の弱さを敗因に挙げており、そういった思いがつい、苛立ちへと繋がったのかもしれない。
2日に発表された世界ランキングでは自己最高位となる4位に上昇し周りからの注目度も上がっている。
色々な点に気を使わなくてはいけない立場になったのかもしれない。