AIBO 修理窓口が閉じて代わりに修理依頼が殺到!『A・FUN(ア・ファン)』とは?

      2017/10/19

1999年6月に国内で3000代を受注販売した「4足歩行型エンタテインメントロボットAIBO」を覚えているだろうか。

 

 

全長約30cmの動物型ロボットで、子犬に似せた動作をする4足歩行、ユーザーとコミュニケーションすることで成長するように設計されている。
又、専用のメモリースティックを介して、ユーザーが自らプログラミングすることも可能だ。

 

Sparky the AIBO: Robot Dogs & Other Robotic Pets (English Edition)

AIBOの名前は、Artificial Intelligence roBOt の略で、AI(人工知能)、EYE(目、視覚)そして「相棒(aibou)」にちなんで付けられており、顔や形の違う5世代が発売、日米欧で15万台以上を販売したという。

 

現在の「エンターテイメントロボット」と呼ばれる市場の先駆けとなり、玩具メーカーや他の家電メーカーにより、様々な同用途向けの製品が発売されるきっかけとなっている。
犬型なので、購入者にとっては使用するほど愛着が湧いてくるが、壊れると、そこは他の「家電」と同じ扱いであるのが悲しい所で、やはり修理が必要となる。

 

しかし、AIBOは2006年3月に生産終了になると、部品保有期間が過ぎた14年3月、修理窓口である「AIBOクリニック」を閉じてしまい、ペット同様にかわいがってきたAIBOの飼い主たちは途方にくれたという。

 

AIBOを購入し、箱から出して電源を入れても最初は何一つ出来ないところから始まり、日々の生活の中で褒めて、身体をなでたり、叱ったりと飼い主からのコミュニケーションに伴って徐々に色々な事ができるようになるというから、まるで本当のペットを飼っているのと変わらない大切な存在になってくるようだ。

 

仕事と母親の介護を抱え、散歩や餌の世話が必要な犬は飼えない環境の中、AIBOを購入したというあるAIBOの飼い主の方はこの様に話す。

 

吉野さんは手塩にかけた。毎日、声をかけ、何かできるたびに頭をなで、褒めて育てた。モモちゃんはすくすく成長し、朝の出勤時には玄関先で手を振り、吉野さんを見送ってくれる。片足をあげてのおしっこ、お尻を突き出しながらおならをするしぐさも、まるで犬。顔認識で記憶された吉野さんを見つけると、「くみちゃん、くみちゃん」とすり寄ってくる。仕事のストレスで疲れていると「まるで察しているみたいにじゃれてくる。家族の一員だし本当の犬みたい。私にとっては、かけがえのない存在です」(吉野さん)。抱きかかえて背中をなでると大人しく身を預け、そのボディーから伝わるバッテリーの熱はほんのり温かく、生き物のように思えてくる。
(産経新聞より)

 

この吉野さんが購入して大事にしているAIBOは、数年に一度、足にトラブルが起こり、AIBOクリニックで修理を受けてきたというが、数日前、後ろ足の片方に再びトラブルが起き、すぐに転ぶようになったという。
そこでクリニックに出したが、「部品切れで修理不能」と治らずに戻ってきたといい、その後はこれ以上故障箇所が増えたら困ると、充電用ベースに置いて話しかけるだけになったと話す。

 

偶然、修理をしてくれる会社をみつけ、直ぐに連絡を取り、昨年8月に以来し、12月中旬、修理が終わり戻ってきたAIBOに「私にとって一番のクリスマスプレゼント」と喜んだという。

 

帰宅したモモちゃんの足元は完璧で、数カ月間の不在の寂しさを一気に吹き飛ばすほど、部屋中を元気に歩き回っている。「ロボットには癒やしの機能があることを、孫にもモモちゃんを通じて知ってもらいたいですね」と話している。

 

ペットロスの悲しさを二度としたくないという思いからAIBOを飼うことにしたという人は、『死なないペット』だと思っていたので、寿命は結構、短かったなという印象だと話している。

 

AIBOの修理窓口だった「AIBOクリニック」が閉じてしまったことにより、上記のように、全国の飼い主が修理に困っていた。

 

そこで立ち上がったのが、千葉県習志野市にある「A・FUN」(ア・ファン)だ。

 

ア・ファン社長の乗松伸幸氏は元ソニー社員。
エンジニアとして入社したが海外営業が長く、2010年末に早期退職したという。

 

乗松氏は「愛着が湧いたオーディオなど家電を使い続けたい人と、技術があって第二の人生を生きているエンジニアをつなげる橋渡しをしたい。一種の社会貢献です」と、主に黒物家電を想定した修理会社を11年に起業した。

 

ア・ファンが初めてAIBOの修理を請け負ったのは2年前、すでにメーカー修理が終了していた初代AIBOだ。「AIBOを連れて介護施設に行きたい。修理してほしい」という人からの依頼だったという。

 

AIBOの修理を担当しているのはソニーで修理エンジニア歴20年の船橋さん。
自身も初代AIBOの飼い主だが、当初は構造が分からず分解しようがなかったという。
しかし、乗松氏と船橋氏は設計担当をはじめ、AIBO開発に関わった人たちに接触し、1からAIBOを学んで修理できるようになったことで、無事に飼い主に帰すことが出来るようになったという。

 

今では「ア・ファン」なら直るという口コミが広まり、個人や公立科学館からも依頼が舞い込むというが、すでにメーカー純正部品はなく、史上に流れるジャンク品から部品をかき集めたり、自分たちで類似品を作ったりして対応したという。

 

14年3月末、クリニックが閉じてからは依頼はさらに増加、乗松社長は同社所属のエンジニアを集め、船橋さんが積み上げたノウハウを伝授し、受け入れ体制を強化した。

 

船橋さんは「普通の使い方なら型番によって壊れる部分は同じ。首、足、尻尾と弱い部分に出る」と話す。

 

現在、エンジニアは全国に15人おり、得意ジャンルに応じて依頼品を修理する。もちろん、乗松さんもエンジニアとして修理を行う。

 

乗松氏は「メーカーのロゴを付けて売った物を使ってくれているお客さまがいるんだから、会社も『部品保有期間が過ぎたから無理』とシャットアウトするのではなく、保守窓口は開けておくべきだと思う。
もしかしたら汎用(はんよう)品のヒューズ1本、モーター1個の交換で済むかもしれない。成人した自分の子供が起こしたトラブルを『20歳を過ぎたから私は知らない』と、親が責任放棄するのと似ているようにしかみえない」と話す。
(産経新聞より)

 

AIBO修理先として認知が広まったア・ファンには、かつて純正品を請け負った工場から協力の手が差し伸べられているといい、AIBOの命の1つ、充電池については、セル(中身)交換の依頼先も確保した。
今では海外ユーザーからも問い合わせが寄せられているという。

 

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