女子モーグル・上村 なぜ4位?3位カーニーとの差は何?

昨日、惜しくも4位の結果で競技を終えたフリースタイルスキー女子モーグルの上村愛子選手。

 

 

オリンピック出場5回目、34歳の上村にとって集大成と位置づけたこの五輪で悲願のメダルをと応援していたファンも多かったと思われるだけにとても残念でしたね。

 

改めて結果を振り返りますと、金メダルはカナダ代表のジュスティーヌ・デュフールラポイント選手、銀メダルはクロエ・デュフールラポイント選手、デュフォーラポイント姉妹は3人が選手として出場、その内の二人が金、銀を獲得しました。

 

銅メダルはアメリカ代表、前回のオリンピックのメダリストでもあるハナ・カーニー選手という結果でした。

 

女子のモーグルは決勝に6人が進みますが、上村選手は一番に滑り、最後の一人、カーニー選手が滑る前の段階で、上位から3番目におり、最後に滑るカーニー選手の得点によってはメダルがかかっている状況でした。

 

しかし、このカーニー選手の滑りには少しミスがみられたので、もしかしたら上村選手が3位に入るのではと思った方も多かったのではないでしょうか。

 

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実際、今日の情報番組でも上村選手に対して、すばらしいすべりを見せてくれてありがとう、感動したという話が出ていたのと共に、4位という結果に対しては、少しミスの見られたカーニー選手のすべりに、なぜ上村選手は負けてしまったのかといった話も出ており、その差について検証していました。

 

それによると、上村選手の敗因は「ターンの仕方」にあるというのです。
そもそもモーグルの採点割合はターン50%、エア25% スピード25%と、ターンの占める割合が高い為、ターンの点数が総合の点数に大きく影響するといいます。

 

具体的に点数でみると、金メダルの選手のターンの得点が12.1、銀メダルの選手も12.1、銅メダルの選手でも11.1なのですが、上村選手の得点は10.6でした。
ちなみに、スピードはメダリスト3人よりも高得点、エアは銀メダリストと同じ点数を獲得していましたので、やはりポイントはターンの点数にあるようです。

 

しかし、素人目には上村選手はミスもほとんどしていませんでしたし、どちらかといえばカーニー選手のほうが目立つミスがありましたので、この得点はどうなのかとも思いましたが、このターンについて、元モーグルの選手だった坂本氏や女子の長野五輪モーグル金メダリストの里谷さんがTVで解説していたものをまとめると以下のようになります。

 

・モーグルのターンには板のエッジを使ってコブをえぐりながら曲がる「カービングターン」と、板を横滑りさせ、コブにぶつけて曲がる「スライドターン」がある。

 

・現在の主流はスライドターンであり、板が接雪していると高得点になる。2~3年前からスライドターンの安定性が評価され、得点が出やすい傾向にある。(各選手には過去のすべりや成績などからベース点と呼ばれるものがあり、スライドターンを行う選手のほうがベース点が高いという。)

 

・このスライドターンをおこなうトップ3選手のターンが現在の主流であり、上村選手はカービングターンを行う為、ターンの得点が伸びなかった。

 

こうしてみますと、ターンに種類があり、そのターンによって得点も変わってくるということのようですね。

 

里谷さんは「世界選手権で(上村選手が)優勝したときは、彼女のカービングターンがすごく評価されている年で、彼女はちょっとの失敗があっても(今回のカーニー選手のように)上位にいた」と話しており、その時期の主流の評価される滑り方というものに得点が出やすいということのようです。

 

又、上村選手を知る元モーグル選手の坂本氏は(上村も)昔はスライドターンをしていた事があり、女子がそれをやるとかっこ悪いといわれたといい、上村選手が今のような男性的でより攻撃的なすべりをするようになったといいます。

 

では、この変化に対応してターンを変えなかったのかということについてですが、上村選手は「(ターンの流れがスライドターンにシフトしていったことは)シーズン中からわかっていたけど、自分のカービングをスライドに出来なかった」と語っています。
自分のスタイル、信じたものをやり遂げた上で、結果を出したかったのかもたかったのかもしれませんね。

 

競技を終えた上村選手は『オリンピックの舞台でやりたかった事やこの気持ちで滑りたいとか、そういうのが全部かなったのでそれがすごくうれしくて、なんかふわっと涙が出てきますね』とインタビューで語りました。

 

メダルには僅かに及びませんでしたが、上村選手の健闘に拍手を送りたいですね。

 

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