フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終第6戦のNHK杯2日目、男女フリーの演技が行われた。
無良や羽生を押さえて優勝したのは村上大介選手。
村上選手は、幼少期に米国に渡って9歳からスケートを始め、06年の世界ジュニア選手権には米国代表で出場して11位という結果を残している。
これまでのGPシリーズは10年スケートアメリカの5位が最高だった。
今大会でジャンプが好調だった村上は、ショートに引き続きフリーでも4回転サルコウのコンビネーション、2回目の4回転他、すべてのジャンプをミスなく決め、安定した演技でフリーで自己ベストを更新する166.39点を出し、合計246.07点でGP初優勝を飾った。
ショートで1位だった無良選手は最終滑走者。
初めて最終滑走になり、緊張したという無良は、冒頭のコンビネーションジャンプ、その後の3アクセルなどジャンプのミスが響いて3位に順位を落とした。
「これが1位の最終滑走なのかと、いい経験にしたい。やり切ったのは良かったので(ファイナルに向けて)練習を重ねていきたい」と話した。
また、ショート5位からの巻き返しを図りたい羽生結弦選手は、ショートに続いて、冒頭の4回転が2回転に、次の4回転も転倒するなどジャンプのミスが響き4位に終わった。
怪我のせいではなく、今の自分の力だと話す羽生だが、中国大会を終えて、身体の回復から練習まで期間を考えても練習不足は否めない。
練習では4回転も綺麗に跳べていた事から、プログラムの内容を身体の状態に合わせてジャンプの構成を変更したことで、曲のなかで跳ぶタイミングが難しくなってしまったことも考えられる。
又、TVのスポーツニュース番組で、先日、羽生と激突した中国のエンカン選手にインタビューする様子が報じられていたのだが、その中で、エンカンは、NHK杯での羽生のすべりを見たといい、羽生についてまだ本調子ではないと思うと語った。
さらに、気になることがあるとして続けたのは、エンカン自身、あの事故以来、ジャンプを跳ぶとき、後ろを気にするようになってしまったというのだ。そして羽生もそうではないかと話していた。
その後、羽生の練習風景のVTRが映し出されてチェックしてみると、確かにジャンプに入る前に今まで以上に目を配っていた。
又、選手とすれ違いざまに壁のほうへ大きく避ける場面も見られた。
身体はある程度時期が来れば、回復していくのかもしれないが、心の傷は、無意識に演技に影響してしまうこともあるのではないかと感じた。
本人は何かのせいにするような言い訳は一切していないのだが・・・。
ファイナルまで2週間とあまり日はない。
NHK杯で勝利できず、悔しくて寝られなかったと話す羽生。
この持ち前のハングリーさで、ぜひともこの試練を乗り越えて、自分本来のすべりを取り戻してもらいたいと願う。
GPシリーズ6戦を終えて、中国大会で2位だった結果と今回の結果を合計し、22ポイントを獲得、町田、無良とともにGPファイナル進出が決まった。
また、今回2位に入ったセルゲイ・ボロノフ選手を含め、6名が12月、スペインのバルセロナで行われるGPファイナル進出が決まった。
【男子GPファイナル進出者】
マキシム・コフトゥン
ハビエル・フェルナンデス
町田 樹
無良 崇人
セルゲイ・ボロノフ
羽生 結弦
女子は、宮原と村上、そして加藤が出場する今大会。
宮原と村上はそれぞれ前の大会で3位になっており、GPファイナルに進出を決めるには、NHK杯で優勝及び2位までには入りたいところだったがファイナル進出はならなかった。
SP4位だった宮原は、前半のジャンプに多少ミスがみられたものの、フリーで2位となり、合計179・02点で日本勢としては最高の総合3位に入った。
SP3位の村上佳菜子は、中盤3回転ループが2回転ループとなってしまったことで、終盤の3回転サルコー-2回転ループ-2回転ループと合わせ、1演技中に3回、同じジャンプ(今回の場合は2回転ループ)をしてはいけないというルールに抵触、高得点が見込めるコンビネーションジャンプが0点となってしまうミスがひびき、結果4位で終えた。
村上は「練習でそういうミスをすることがなかったので、そのままやってしまった。なければもっと点が出たので、すごくそこが一番悔しい。戻ってきてモニターを見て気づいた」と、悔しさをあらわにした。
優勝したゴールド、2位のレオノアとも、ジャンプにミスがあったものの、表現力、技術の高さで結果を残し、この結果により、ゴールド選手のGPファイナル進出が決まった。
女子ファイナルの進出者6名のうち、ロシア勢4名、アメリカ2名と言う結果となり、日本女子は14シーズンぶりに、GPファイナル進出を逃した。
【女子のファイナル進出者】
エリザベータ・トクタミシェワ
エレーナ・ラジオノア
アンナ・パゴリラヤ
ユリア・リプニツカヤ
グレイシー・ゴールド
アシュリー・ワグナー